「うちのおばーは80歳を過ぎていますが、手術に耐えられますか?」

 自宅で転倒して大腿骨(だいたいこつ)頚部(けいぶ)骨折のため救急車で運ばれてきた患者さんの家族からしばしばこのような質問を受けます。

 近年、高齢者の人口増加とともに高齢者の骨折が増加しています。高齢者の骨折の特徴は骨粗しょう症を有していることが多いため、骨がもろく、軽微な転倒、例えば椅子にドンと座っただけでも骨折を起こすことがあります。

 大腿骨頚部骨折(足の付け根の骨折)、脊椎圧迫骨折(背中・腰の骨折)、上腕骨近位端骨折(肩の骨折)、橈骨(とうこつ)遠位端骨折(手首の骨折)が高齢者に起こりやすい四大骨折と言われています。 

 では実際にこれらの骨折と診断された際にはどう対処すればよいでしょうか?

 大腿骨頚部骨折についてはベッドで安静にしていると寝たきりになる恐れがあるため、よほど全身状態が悪い場合を除いては受傷後できるだけ早く手術による加療を行います。術後は早期にリハビリを開始し、受傷前の歩行状態に近づけるようにリハビリ訓練を行います。

 上腕骨、橈骨の骨折は上肢の骨折のため寝たきりにはなりにくいです。骨折部を固定するためにギプス固定等が必要ですが、骨折部が落ち着くまで固定をしているとその後の関節の動きが悪くなるため、新たに介護が必要となる場合があります。

 このため、もともと全身状態がよい方については骨が大きくずれていたり、粉砕しているような骨折の場合には固定力のよい手術療法を早期に行い、早期にリハビリを行うことで早期回復へとつなげることが可能です。

 一方、脊椎圧迫骨折は大腿骨頚部骨折と同様に寝たきりになる可能性がありますが、初期のエックス線では診断がわかりにくい場合があるので痛みが続く場合には磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けることをお勧めします。治療はコルセットを作成し、骨粗しょう症の治療、リハビリが必要となります。

 いずれの場合にも先に述べたように骨粗しょう症によって骨がもろくなっている場合が多いため、次の骨折を予防する意味でも骨粗しょう症の治療も同時に行うことが必要です。特に脊椎圧迫骨折の場合には骨粗しょう症の治療を行いながら、骨が新たにできることで痛みも徐々に改善されるという骨形成促進剤(骨の代謝を改善して骨をどんどん作る薬)が発売されています。

 注射ということで飲み薬よりは少し大変ですが、効果は上々ですので使用可能かどうか主治医の先生と相談してみてください。(奥田 和弘 おもろまちメディカルセンター)