やりきれない思いが胸を去らない。川崎市で昨年2月、中学1年の上村遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判員裁判である

 ▼上村さんが亡くなってもうすぐ1年になる。横浜地裁は10日、殺人罪などに問われたリーダー格の少年(19)に、懲役9年以上13年以下の不定期刑を言い渡した

 ▼裁判で明らかになった犯行は、あまりにむごすぎる。無抵抗の年下の少年をカッターナイフで40カ所以上も切りつけ、真冬の川を2回も泳がせた。最後はまだ息をしている様子だったのに遺棄した

 ▼切られながら遼太さんは、目に涙を浮かべ「ごめんなさい」と口を動かしていたという。痛かったろう、寒かったろう、怖かったろう。「考えるだけでも気が狂いそうだ」。法廷で意見陳述した父親の悲しみと怒りに、二重三重に胸がふさがった

 ▼不定期刑は少年事件で認められる刑罰で、更正に要する期間の個人差を考慮して刑期に幅を持たせている。今回、被告少年が暴力に囲まれた生育環境を原因とする未熟さも考慮された

 ▼「遼太の命が軽く扱われている」。判決への父親のコメントに、「情」は首を縦にふらせる。一方、猛省を促し更正に期待する少年法の考えにも、「理」がうなずく。折り合いをつけがたい後味の悪さばかりが残る。心で遼太さんにわびたい気になる人も多かろう。(宮城栄作)