政治家以前の問題だ。「イクメン議員」を標(ひょう)榜(ぼう)したのは売名行為だったのではないか、と指弾されても言い訳ができない。

 育児休暇を取ると宣言して国会内外で賛否の論議を巻き起こしていた自民党の宮崎謙介衆院議員(35)=京都3区=が12日、記者会見し議員辞職を表明した。同日衆院に議員辞職願を提出。16日の衆院本会議で許可される見通しだ。

 妻で同党の金子恵美衆院議員(37)=新潟4区=が今月5日、東京都内で男児を出産。宮崎氏も立ち会っていたが、出産直前の1月30日に京都市内の自宅で女性タレントと1泊した不倫疑惑を「週刊文春」が報じていた。

 宮崎氏は事実関係を認め、「自分が主張したことと、軽率な行動のつじつまが合わない」と謝罪した。その通りである。議員辞職は当然だ。

 自身のブログには長男誕生の写真を掲載し、「これから2人で大切に育てていきたいと思います」などとつづっていた。

 宮崎氏が昨年12月に育休取得を宣言して以来、賛否の声が相次いだ。

 「(国会議員は)世の中の先頭を切って必要な改革を進めていくべき存在でもある」などと閣僚を含む議員らが賛意を示す一方で、「一般の人は育休を取れば給与が削られるが、国会議員は丸々受け取れる」などと与野党の議員らからは国会議員が育休を取ることに違和感を表明する意見も出ていた。

 これまで俎(そ)上(じょう)に上ることがなかった男性議員の育休について、一石を投じることになり、宮崎氏の問題提起には意義があった。

■    ■

 北欧では国会議員に最長1年間の育休制度を認めた国がある。育休中は、上位の落選議員が代理を務めるという。

 もちろん、日本の選挙制度とは違うため、そのまま適用できるわけではないが、男性国会議員が育休を取得することは珍しいことではないのである。

 宮崎氏の不祥事で、民間企業で育休がますます取りづらくならないか懸念する。

 男性の2014年度の育休取得率は2・3%にすぎない。政府は20年までに13%に引き上げる目標を設定しているが、厳しい数値である。

 男性も育休を取りたいのに、取りにくいというのが実情だ。同僚に負担をかけることになるため躊(ちゅう)躇(ちょ)し、逆にカバーすることに積極的でない職場の雰囲気が育休取得を阻んでいる。

 育児参加をする男性への嫌がらせを意味する「パタニティーハラスメント(パタハラ)」があるのだ。

■    ■

 男性の育休が重要なのは女性も、男性も、同じように子育てに関わるという社会をつくることにつながるからだ。少子化対策や女性が出産しても仕事を辞めず、社会で活躍することに直結している。

 男性国会議員が率先して育休を取得することになれば、民間企業に波及し、育休取得率が低い企業風土を変えることになるかもしれない。

 宮崎氏の不祥事は、育休問題と切り分けて捉え、国会は論議を止めないでほしい。