東日本大震災後、電柱や避難場所などに「海抜○m」と表示されているのをよく見かけるようになった。ここの海抜はどのくらいだろう、もし津波が来たら大丈夫か、と気にする自分がいる

▼低地にある現在地か、海抜20~30メートルの旧空港跡地への高台移転か。新しい石垣市役所の建設場所を問う住民投票は、高台移転を支持する市民が8割を占めた。結果を受けて中山義隆市長が旧空港跡地に建設することを発表したのは当然だろう

▼八重山地域は1771年4月の明和の大津波で、当時の人口の約3分の1に当たる9300人余が犠牲となり、多くの集落が壊滅的な被害を受けた。大津波後も約100年にわたって八重山の人口は減り続けたという

▼投票結果は、災害時に司令塔の役割を果たすことが求められる市役所が、低地にあることに不安を感じている市民が多数いることをはからずも示した

▼大津波の恐怖を語り継いできた一方で、約250年前の大災害はもう過去のことだとされ、風化も懸念されていた。それが2011年3月の大震災で、歴史の教訓として呼び起こされたのかもしれない

▼大震災では多くの役所や役場が被害を受け、司令塔としての機能が止まった。災害時に住民の安全をどう確保するのか、県内の他の自治体でも司令塔としての対策が求められる。(玉寄興也)