1979年に発足した久米島精神障がい者家族会「あけぼの会」は沖縄県内で初めての地域家族会だった。その初代会長を務めたのが、大田治雄・久米島町長(62)の父武治さん(故人)だ。

県精神保健福祉会連合会の高橋年男事務局長(右)の質問に耳を傾ける大田治雄久米島町長=15日、久米島町

 大田町長は7人兄弟の7男。9歳年上の3番目の兄が統合失調症を抱え、本島での入院生活は通算で約20年になる。

 兄は高校時代に化学の実験中に起きた事故で顔をやけど。目指していた国立大学の受験も断念し、精神的ショックからか18、19歳のころ発症したという。「隣家の窓を割り、私が元通りに据え付けたこともある。特効薬がなく、ユタにも通った。地域のケア態勢が弱く、家族は大変だった」

 71年に島成郎医師らによる巡回診療が始まったことを「細かく処置してくれて感謝している」と話す。

 宮里恵美子さんら保健婦(当時)の業務を越えた献身的な支援もあって患者・家族が集い交流を深め、悩みを話し合う家族会も始動し武治さんはその精神的支柱になった。

 4年前の初出馬の際は、精神障がいの兄の存在を進んで公表した大田町長。「病気に対する偏見を私からなくしたいとの思いがあった」と話した。