イクメンのはしりといえば、ダンサーのSAMさんだ。沖縄出身の歌手、安室奈美恵さんとの間にできた長男を抱く政府広報ポスターが話題になった

▼キャッチコピーは「育児をしない男を、父とは呼ばない」と挑発的。「政府が一定の家族観を押しつけるべきではない」などと批判もあったが、もっぱら若い世代には好評で一大論争となった

▼17年の時を経て、今度は代議士の育休取得論争が起きたが、幕切れはあっけない。その張本人、宮崎謙介衆院議員(自民)が妻の出産直前の不倫を認め、議員を辞めると会見で明かしたからだ

▼いわゆる「政治家としての教育」を受けていない素のままの会見を見ると、育休取得宣言はパフォーマンスだったとしか思えない。自らも認める主張と行動の「つじつまが合わない」からだ

▼議員は一般の仕事と違い国民の奉仕者だから取るべきではないという考えもあるが、賛否のある国会で子育て世代が範を示すめったにないチャンスでもあった。なにせ男性の育休は周りの理解が進まないから取りにくいと言われている

▼男性の取得率はいまだ2・3%(2014年度)。「女性活躍」社会を推進するには待ったなしの状況だが、政治家でさえ道具に使ってしまう。この意識改革に近道はないのだろう。地味でも確実にすそ野を広げることが大事。(与那嶺一枝)