翁長雄志知事は16日に開会した沖縄県議会2月定例会で所信表明演説を行った。

 向こう1年間の県政運営方針と重点施策を説明する演説の柱は三つ。注目すべきは従来の2本柱「基地問題の解決」「経済振興」に、新たに「子どもの貧困対策」を加えたことだ。

 沖縄の子どもの貧困率が29・9%というショッキングな調査結果が出たばかりである。当然といえば当然だが、これまで後回しにされてきた課題の解決に強い決意を示すものだ。

 翁長知事は「貧困の世代間連鎖の防止が大きな課題。解決に向けて全力で取り組む」と述べ、県や市町村、経済・労働団体や市民団体などで構成する「県子どもの貧困解消県民会議」を立ち上げ、県民運動として展開していく考えを明らかにした。

 市町村の取り組みを支援する「子どもの貧困対策推進基金」の設置、給付型奨学金制度の創設などにも触れた。

 ライフステージに即して切れ目のない総合的な対策を推進する「県子どもの貧困対策推進計画」が4月から6年計画で始まる。

 推進計画では、子どもの教育に関する施策に力点が置かれる一方、保護者の所得アップにつながる支援が見えにくいことが指摘されている。

 県を挙げて取り組む県民会議の設置に異論はないが、一朝一夕にはいかない問題である。貧困対策での行政の責任と民間の役割分担を明確にした上で、息の長い運動につなげる体制を構築すべきだ。

■    ■

 翁長知事は、就任1年目の所信表明で「『誇りある豊かさ』の実現に確かな道筋をつける年にしたい」と語った。2年目のことしは「『誇りある豊かさ』を実現していく」と一歩進めた。

 知事の言う「誇りある豊かさ」とは、新基地建設に明確に反対する一方、経済振興も力強く推進していく考え方だ。

 県経済は観光が好調で、景気も拡大している。他方、新基地建設をめぐっては、県と国が三つの訴訟で対峙(たいじ)するなど厳しい状況が続く。

 普天間飛行場の移設について「辺野古の新基地は造らせないということを引き続き県政運営の柱にする」と述べた翁長知事。

 民主主義や地方自治をないがしろにする安倍政権と闘う姿勢をあらためて強調した背景に、この1年で沖縄の主張に対する理解が国内外で広がったことへの自信がのぞく。

■    ■

 県議会は来週23日から代表質問が始まり、本格論戦に入る。

 子どもの貧困対策推進計画案に足りないものは何なのか議論を深めるとともに、中間評価の年に当たる沖縄21世紀ビジョン基本計画の課題を洗い出してほしい。

 代執行訴訟で進む和解協議や、判決後の対応も大きな論点だ。 

 所信表明で翁長知事は「知事選挙で掲げた公約の95%以上、着手できた」と成果をアピールした。

 「着手」から「実現」へ向けての具体策も聞かせてもらいたい。