9秒でまるわかり!

  • 豆腐製造業「池田食品」がスーパーでの販売をやめて移動販売に
  • 食の多様化で消費が鈍り、原材料も高騰。価格競争が激化していた
  • 品質勝負の豆腐は消費者の評判も高く、販売エリア拡大を目指す

 「ピ~、プ~」。豆腐の行商の懐かしいラッパの音色が住宅街に響く-。豆腐製造業の池田食品(沖縄県西原町、瑞慶覧宏至社長)は、出来たての島豆腐やゆし豆腐など大豆関連の約40商品を車に載せ、移動販売を本格化させている。現在、那覇市や浦添市、豊見城市など中南部を中心に6台の移動販売車で「営業中」。開始から約1年半、玄関先でラッパの音を待つ常連客が増えつつある。

島豆腐や関連商品を載せた移動販売車をPRする瑞慶覧社長(右)=西原町・池田食品

 豆腐業界は食文化の多様化で消費が伸び悩む。原材料費の高騰などの課題を抱える一方、価格競争は激しく、厳しい経営を余儀なくされている。同社は1983年に創業。3代目の瑞慶覧社長(33)は県外の事例を学ぶうち「価格では大手に太刀打ちできない。品質で勝負する」と、量販店の卸から撤退を決意。消費者に作り手の思いを直接伝えようと、移動販売に転換した。

 卸撤退で販売コストを抑えた分、原材料を見直した。大豆は滋賀県産「タマホマレ」に、塩やにがりも県産に切り替え、新ブランド「大豆加工研究所 三代目池田屋」を立ち上げた。

 看板商品「あちこーこ島どうふ」は500グラムで330円と割高だが、瑞慶覧社長は「玄関先で買えると喜ばれている。対面販売なので消費者の反応や要望も聞ける。ニーズに応え、信頼関係を築きたい」と話す。

 労働環境も変わった。従来は量販店の開店に間に合わせるため、午前3時ごろから工場を稼働させていたが、移動販売後は午前6時稼働、土日の定休も実現した。売り上げ管理もIT化。運転手はタブレット端末で販売状況を管理し、売れ筋などが一目で分かる。

 瑞慶覧社長は「来年には車両台数を2倍以上、販売エリアも拡大したい」と意欲をみせている。問い合わせは池田食品、電話098(945)0279。(政経部・長浜真吾)