中国から台湾に移った国民党政権が、多数の住民らを虐殺した1947年の「2・28事件」で父を失った浦添市の青山惠昭さん(72)が、台湾政府に被害認定と損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、台北高等行政法院(裁判所)で言い渡される。外国人が事件の賠償を求めて提訴するのは初めて。青山さんは「犠牲者に寄り添った公正な判断を望んでいる。台湾の良心を信じている」と話す。(社会部・嘉数よしの)

2・28事件で父を失い、台湾政府に損害賠償を求めている青山惠昭さん=12日、浦添市内

 同事件は、国民党の専制支配や台湾人差別が原因で起こった住民と政府の衝突で、2万人以上の死者が出たとされる。国民党独裁政権下で長くタブー視されてきたが、民主化の進展に伴い、95年に当時の李登輝総統が公式に謝罪、政府は真相究明や補償に乗り出した。

 青山さんは2013年に台湾政府の委託を受けた基金会に父への賠償を申請。事件で失踪したことは認められたが、台湾政府は(1)「慰安婦」など戦争中の台湾人に対する賠償請求に日本政府が応じていない(2)外国人賠償の法令がない-などを理由に、昨年7月に却下を通知。青山さんはこれを不服として、同年9月に提訴していた。

 昨年11月とことし1月の2度、公判があった。青山さん側は、同事件の賠償条例に外国人不適用の文言がないことや、慰安婦らの戦後補償問題は同事件と直接的関連がなく、「負の連鎖を断ち切り、台湾の国際的評価を高めるためにも、積極的な補償を」と主張してきた。被告の基金会側は、政府の指示で失踪認定を取り下げた、と説明している。

 青山さんは、事件に巻き込まれた県出身者がほかに3人おり、関係者が高齢化していることから、「真実を未来に残すための大事な判決になる。今後につなげたい」と語る。

 同事件沖縄調査委員会代表の又吉盛清沖縄大学客員教授は、「人権問題や戦後処理、東アジアの平和に連なる訴訟。台湾の民主意識の高まりや政権交代が重なった好機でもあり、期待したい」と説明した。