名護市辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が国と県に示した二つの和解案のうち、「根本的解決案」として、普天間飛行場周辺住民に対し、返還まで1日最大300円を国が賠償することを提示していたことが17日までに分かった。「根本案」は新基地建設を前提とするため、県が受け入れず成立しない見通し。

 同支部が1月8日の第2回口頭弁論後の進行協議で、すでに和解案を提示する方針を伝えていたことも明らかになった。

 賠償内容は、W値(うるささ指数)75の地域は1日150円、W値80の地域は300円と提示。昨年6月、普天間飛行場周辺住民約2千人が米軍機の騒音で精神的苦痛を受けたとして国に損害賠償を求めた「普天間騒音訴訟」の一審判決で、那覇地裁沖縄支部が認めた賠償額と同じ基準となっている。

 和解勧告は、代執行訴訟で国が勝訴しても今後、埋め立て承認の撤回や、工事の設計変更が避けられず、延々と法廷闘争が続く可能性を指摘。その場合、国が訴訟で勝ち続ける保証はなく、知事の広範な裁量が認められ、国が敗訴するリスクが高いとの見方も示している。

 「根本案」は、県が埋め立て承認取り消しを撤回し、国は新基地建設の供用開始から30年以内に返還か軍民共用にするため米国と交渉することを求めている。

 一方の「暫定案」は、国が代執行訴訟を取り下げ、国は工事を直ちに停止し、違法確認訴訟など別の手続きの判決まで、円満解決に向けて協議するもの。県は前向きに検討する方針を明らかにしているが、国側は否定的で、成立しない可能性が高い。

 和解勧告は、福岡高裁那覇支部が「暫定案」に限って公開を許可したが、その他の内容は国、県に公開しないよう指示し、公表されていない。県は公開を求めている。