県は那覇市古波蔵の沖縄赤十字病院と、隣接する農林水産省動物検疫所沖縄支所古波蔵検疫場跡地(いずれも県有地)に特別支援学校を新設することを決めた。

 那覇市には沖縄南部療育医療センターの入所者に限った那覇特支校があるものの、知的障がいと肢体不自由の児童・生徒を受け入れる特支校ができるのは初めてだ。

 小・中・高等部を設置することにしており、5年後の2021年度に開校する。

 那覇市長時代から陳情を受けてきた翁長雄志知事が17日、記者会見して発表した。

 特支校が県庁所在地にないのは沖縄県だけだという。

 保護者らの10年来の息の長い陳情活動が実を結ぶことになり、保護者らにとっては朗報だ。

 沖縄赤十字病院跡はすでにさら地になっており、動物検疫所も16年度中には移転する見通しだ。

 面積は計1万7866平方メートル。校舎や運動場、ほ場などが必要で、こららの造成でまとまった土地が確保できることと、県有地であることから早めに着手できることが決め手になった。

 那覇市からは大平特支校(浦添市)、島尻特支校(八重瀬町)、西崎特支校(糸満市)、鏡が丘特支校(浦添市)などを含め、市外の特支校に約400人の児童・生徒が通っている。特支校2校分に相当する数である。

 「地域の子は地域で育てる」のが本来の姿である。子どもの長時間のバス通学や、子どもの送迎にかかる保護者の精神的・経済的負担が解消されることは大きい。

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 新設の背景には、軽度の知的障がい者の在籍数が県教育庁の予想を超えて増えたことがある。これまで特支校を避けていた保護者の意識変化もありそうだ。

 県内の特支校に在籍する児童・生徒は増える一方である。受け入れ先も過密状態だ。

 特支校の在籍者数は1998年の1574人から2015年には2183人となった。全国的な傾向でもあるが、特に知的障がいで在籍する子どもは1061人から1568人と1・5倍に伸びた。

 普通校の中で障がいのある児童・生徒に対する意識や受け入れ態勢が整っている学校は多くない。

 このため、保護者の中には特支校で児童・生徒一人一人に配慮した教育が受けられることを重視。よりよい教育の場として認知されるようになったのではないか、と県教育庁や保護者らはみている。

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 障がいのある子もない子もともに学ぶ「インクルーシブ教育」が世界の潮流だ。

 特支校はインクルーシブ教育に至るまでの一つの段階ととらえたい、と陳情した「保護者の会」の譜久島一成代表は言う。

 県内でも、学校に特支校の分教室を設ける動きや、普通学級で障がい児が学ぶケースが、少しずつだが、増えている。

 特支校の新設と同時に、普通学校での受け入れ態勢の充実を図るなど、学びの選択肢を広げるべきだ。