「病理診断科」という名称を見かけたり、聞かれたりした方は、おられるでしょうか。比較的、最近になり、病院の入り口に掲示されている診療科・部門案内で見かけるようになりました。これは、2008年の厚生労働省通知により、診療科として掲げることが認められたためです。

 「病理(学)」自体、見慣れない言葉と思いますが、病気の原因やメカニズムに関する研究を行う医学の一分野で、病理診断は主治医が提出した患者さんの体の一部(検体)を肉眼や顕微鏡を用いて直接観察を行い、病気の原因の解明や病名を特定することを目的としています。

 病理診断を行う医師(病理医)の登場する作品は少ないですが、古くは「白い巨塔」があり、新しいところでは「チームバチスタの栄光」があります。今年1月に始まったテレビドラマ「フラジャイル」では、熱血漢の病理医が主人公であり、これらの作品から、病理診断または病理医の一面をうかがい知ることができます。

 実際に、病理診断科で行っている業務に(1)病理診断(2)病理解剖があります。

 (1)としては、主に産婦人科、皮膚科、消化器内科、呼吸器内科などの外来を受診した際に、体に生じた「できもの」(腫瘍)や、かゆみを伴い、赤く腫れた部分から検体を採取する、または、外科手術で摘出された臓器に対し、病気の種類、良い腫瘍か、悪い腫瘍か(良悪性)の判断を行い、必要に応じて、残った臓器に、腫瘍が残っていないかの評価(断端評価)も行います。

 (2)としては、病院で亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、病気の種類、病気が及んでいる臓器の範囲、治療効果の評価など、死に至った経緯や死因の検討を行います。

 以上より、病理診断科が行う業務がどのようなものか、大まかに理解されたと思います。現状として、病理診断を行う医師は、全国的に不足しており、厚生労働省が発表した10年の必要医師数実態調査によると、診療科別必要医師数の上位は、リハビリ科、救急科、産科であり、それらに次いで医師が不足している診療科となっています。より良い病理診断結果を迅速に提供するためにも、病理医の育成が急務であり、15年10月より、医療事故調査制度が始まったこともあり、病理医の役割がますます重要になって来ています。直接関わることは、あまりありませんが、地域の医療を支える、病理診断科と病理医の存在を知っていただければ幸いです。(新垣 和也 琉球大学医学部附属病院)