糸満市を中心に沖縄本島中南部地域で、害鳥「シロガシラ」によるレタスなどへの被害が広がっている。県には他市町村からも被害報告が相次ぎ、2017年度の被害額は前年度の2倍以上で7年ぶりに1千万円を超え、さらに拡大する見通しだ。専門家は「台風の減少や天敵が限られているため個体数が増えている」とみている。野菜の出荷が続く中、県や市町村などは有効な対策は打ち出せず、農家は悲鳴を上げている。(政経部・川野百合子)

シロガシラに中心部分をついばまれ廃棄された玉レタス(沖縄本島南部地区野生鳥獣被害対策協議会提供)

農作物への食害が問題になっているシロガシラ(漫湖水鳥・湿地センター提供)

シロガシラ被害額の推移

シロガシラに中心部分をついばまれ廃棄された玉レタス(沖縄本島南部地区野生鳥獣被害対策協議会提供) 農作物への食害が問題になっているシロガシラ(漫湖水鳥・湿地センター提供) シロガシラ被害額の推移

 県によると、シロガシラの被害は10年度の4748万円以降、16年度の699万円まで1千万円を下回っていた。それが17年度は糸満市だけで少なくとも1291万円(2月20日時点)に上っている。 被害額は県が今後、各市町村に聞き取りまとめるが、糸満市だけでも前年度の県全体の2倍近くに上る。県の担当部署には、他市町村からも報告があり、担当者は前年度の被害総額を大きく上回ると予想する。

 県に報告がきている市町村は糸満市のほか、八重瀬町、南城市、中城村、うるま市など。露地栽培でレタスやキャベツ、ブロッコリー、インゲン、スイートコーン、トマトなどの野菜を栽培する地域で被害が顕著だ。

 糸満市によると、17年度のレタスの作付面積は3300アールで、このうち4割の1320アールが被害を受けた。キャベツは2600アールのうち520アール、スイートコーンも1千アールのうち200アールで被害が出ている。

 レタスやキャベツ、スイートコーン、インゲンなどは5月上旬まで出荷がある。南部地域の市町村やJAなどの関係団体は「野生鳥獣被害対策協議会」を結成し、県から捕獲許可を得て箱わなを仕掛けるが、捕獲できるのは100羽中5、6羽だという。銃器による駆除もあるものの、市街地や集落に隣接するため適さず、いまだ有効な対策が見いだせていない。

 被害を受けた農家は、「賢い鳥で人間が見ていない隙に一斉に来て、広範囲を食い散らかす。防鳥ネットなどで作物を覆うことが対策となるが、自費では厳しい。国や県、市町村の補助がないとやっていけない」と悲鳴を上げる。