先週の小欄で、日本新聞博物館(横浜市)で開催中の写真展「よみがえる沖縄1935」を取り上げたが、隣で同時開催している新聞広告展も面白い。来たついでに軽くのぞくつもりだったが、昔の名作に足が止まった

▼広告界で数々の受賞歴があるアートディレクターの副田高行さん(68)が約40年間に手掛けた新聞全面広告の100選。キャッチコピーや写真が読者に響き、企業イメージを高めるものばかりだ

▼〈歴史は、あっちこっちで作られる〉。1988年の朝日新聞の広告は、フーテンの寅さんこと渥美清さんが眼鏡をかけた着物姿で、新聞を手に真顔で書斎にたたずむ

▼〈人生は、みんな一回〉。94年の雑誌「小学一年生」の広告は、杖(つえ)をついた俳優・笠智衆さんがまっすぐ前を向き悠然と歩く。〈人生の一年生〉の脇見出しも効いている

▼昨年の国内の総広告費は6兆3907億円で6年連続で増えたが、新聞は5147億円で5年連続の減少。対照的にインターネットは1兆5094億円で4年連続の二桁の伸び。新聞は最近元気がない

▼「広告が、生活者への幸福の手紙なら、人の心に触れる表現なら、復活する」。副田さんは広告展の意義を「もう一度、1枚の紙の力を確かめたい」。縦54センチ、横40センチ。まだまだ時代を動かしていける。眺めながら、そう直感できた。(西江昭吾)