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  • 沖縄県内のスクールソーシャルワーカーのうち、有資格者は2割
  • 非正規雇用が多く「貧困対策の職場がワーキングプア」の指摘も
  • 全国的には有資格者が4~5割で、全員有資格者の自治体もある

 沖縄県内で働くスクールソーシャルワーカー(SSW)のうち、社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者は2割にとどまっていることがこのほど、研究者やワーカーらでつくるスクールソーシャルワーク研究会おきなわ(代表・比嘉昌哉沖縄国際大准教授)のまとめで分かった。収入が不安定な非正規雇用がほとんどで、人材が集まりにくい実態がある。勤務日数の少なさや時間の短さが子どもの支援を阻む現状もあり、研究会は改善を求めている。(特別報道チーム・田嶋正雄)

スクールソーシャルワーカー(SSW)の活動イメージ

 研究会によると2015年度、県内で働くSSWは県教育庁採用者が20人、市町村教委(9自治体)採用者が29人で合計49人。そのうち社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格保有者は県4人、市町村6人の計10人。08年度に18人で事業が始まってから人数は年々増えてきたが、有資格者の割合は伸びていない。

 文部科学省はSSW活用事業で「福祉専門資格を持つのが望ましい」としている。県は子どもの貧困対策推進計画(素案)で「配置人数や区域の拡大」を掲げ、資質向上や待遇改善を明記したが、資格の有無への言及はない。研究会によると全国的には有資格者が4~5割を占め、福岡市など全員が有資格者の自治体もある。

 沖縄大学の名城健二准教授は「教育と福祉をつなぐ専門職としての認知が不十分。社会保険もなく、月収10万円前後の非正規職員が多い。貧困対策の職場がワーキングプアを生んでいるのが実態だ」と指摘。国はSSWを大幅に増やす方針だが、待遇改善なしでは質の低下を招く恐れがあり「子どもにしわ寄せがいくことは許されない」と危ぶむ。

■雇用の安心 求める声

 沖縄県内のSSWは非常勤や嘱託職員などで一日6時間、週3~5日勤務という例が多い。あるワーカーは「子どもを取り巻くさまざまな困難に寄り添い、解決策を探る重要な仕事。やりがいがある」としつつも「決められた時間内では十分に支援できず、勤務時間外に家庭訪問などに行くことも多い」と話す。収入は不安定で、年度の変わり目や夏休みなどは月8万円以下ということもあるという。

 生活が厳しく、ダブルワークでしのぐ別のワーカーは「大学で福祉を学び資格取得した人や、子どものために仕事がしたいとの思いがある人でも、労働条件を知り敬遠する」と話す。

 県のスーパーバイザーを務める比嘉准教授は「大学で専門知識を学んだ志ある人材が安心して働くことが、子どもの利益になる。現職の待遇改善も子どもの貧困対策に必要な視点だ」と指摘した。

 【ことば】スクールソーシャルワーカー(SSW) 子どもを取り巻く生活環境に焦点を当て、教育と福祉をつなぐ支援を行うために学校などに配置される専門職。SSWになるための資格は特になく、退職教員や民生委員が務めている場合もある。いじめや貧困問題解決への役割が期待されている。