子どもの健康、ひいては命に関わる重大な問題である。

 親が国民健康保険(国保)の保険料を滞納している世帯で、「保険証」が届いていない高校生世代以下の子どもが129人に上ることが沖縄タイムスの調べで分かった。

 内訳は、那覇市の13世帯24人を筆頭に、15市町村の86世帯である。

 2008年、親が保険料を滞納し保険証を返還させられたため、無保険状態になった中学生以下の子どもが全国で約3万3千人に上ると厚生労働省の調査で明らかになり、社会問題化した。背景には景気悪化に伴う失業や非正規労働者の増加があった。

 国保法を改正し、09年から中学生以下の子どもに保険証が交付されるようになった。さらに10年には高校生世代以下まで交付されるようになり、救済幅を広げてきた。

 保険証がないまま、子どもが医療機関にかかると、窓口で医療費を全額負担しなければならない。このため、親が子どもに医療機関を受診させることを躊(ちゅう)躇(ちょ)し、必要な治療を受けにくくする「受診抑制」につながりかねない。

 保険証を持っていても、困窮世帯では窓口負担が厳しいため、子どもに医療機関を受診させるのに二の足を踏む親がいるとみられる。

 少々の病気や虫歯では医療機関で治療を受けさせず、病状を悪化させてしまうケースは珍しくない。

 滞納の根っこに貧困があるのは容易に想像がつく。払いたくても払えないのである。

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 なぜ、保険証が届かないのか。気になるのは、滞納者の自宅を訪問したり、電話連絡をして滞納者との接触を積極的に試みたりする自治体がある一方で、窓口受け取りにこだわる自治体があることだ。

 県内では郵送が主流だが、窓口交付を原則とする自治体は交付に併せて、親に保険料を督促する考えがある。

 ただ、保険料を滞納している親はそれだけで「負い目」を感じているはずである。親の足取りが重くなるのは当然ではないだろうか。自治体には交付方法でもっと柔軟な対応を求めたい。

 保険証の届いていない15市町村の高校生世代以下は1~24人である。子どもの実情を把握することが可能な数字である。そのためには、国保担当部署と連携しながら、学校を中心に、教育と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーらが児童・生徒にアプローチする方法もあろう。

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 自治体の担当者には滞納世帯との接触も欠かさないでほしい。親が抱えるさまざまな問題や子どもが置かれた状況を捉え、行政支援につなげるきっかけになるかもしれないからである。

 滞納者の相談に丁寧に応じる必要がある。病気やけがなど保険料を納付することができないと認められる「特別な事情」があるかもしれない。

 そもそも滞納している親は、子どもが保険証を受け取ることができることを知っているのだろうか。日々の仕事や生活に追われていれば、情報が届きにくいはずである。

 自治体には制度の周知も徹底してもらいたい。