戦後50年の節目の年だった1995年、勤務していた具志川支局で多くの戦争関連の取材をした。フィリピンで戦争孤児になった男性、サイパンでの戦いを生き延びた女性…

▼話を聞いたものの「名前を出したくない」との理由で、記事にできなかった人もいた。幼い妹と本島南部で生き別れたという60代の女性だった。映画「GAMA 月桃の花」をぜひ見てほしい-。彼女からはがきが届いたのは1年以上後のこと

▼時間を見つけ映画館に行った。勇ましい戦闘シーンはなく、戦(いくさ)に巻き込まれて傷つき、命を落とす住民の姿が映し出され、弱い者が犠牲になる戦争の実相がリアルに描き出されていた

▼主人公一家が避難する途中、道端で幼児が親の遺体にすがり泣きじゃくる場面があった。記事に出ることをためらった女性は、妹を置き去りにした罪悪感を背負い込んでいたのだろうか

▼21日、那覇市のタイムスホールで二十数年ぶりに同作を見た。戦争体験の風化に抗(あらが)いたいとの県民の思いが凝縮され、海勢頭豊さんが作った主題歌「月桃」と合わせ県外でも大きな話題になって22年がたつ

▼全国での観客数は、延べ300万人に上る。一方で県内の上映機会は減少しているという。沖縄戦は遠くなり、体験の風化はさらに加速している。今こそ多くの人に見てほしい。上映は今日まで。(玉城淳)