「てぃーち」「たーち」「みーち」-。県庁の階段やトイレ、通路のあちこちにしまくとぅばで書かれたシールが貼られている。最初に登場したのは2014年。県文化振興課でしまくとぅば事業の担当だった平良真さん(46)=現・県産業振興公社=が独自に取り組んだ。触発されたように、作成者不詳の、節電を呼び掛けるしまくとぅばシールも続いた。平良さんは、大勢の職員が利用する場所に貼ることで「まずは目に触れてもらい、親しみを持ってもらいたかった」と振り返る。(政経部・嘉良謙太朗)

1~10階のエレベーターの側にある階数表示の下に、しまくとぅばのシールが貼られている

シールを貼ったのは「しまくとぅばに親しみを持ってもらいたかったから」と話す平良真さん=18日、那覇市・沖縄産業支援センター

トイレに貼られた、節電を呼び掛ける、しまくとぅばシール

1~10階のエレベーターの側にある階数表示の下に、しまくとぅばのシールが貼られている シールを貼ったのは「しまくとぅばに親しみを持ってもらいたかったから」と話す平良真さん=18日、那覇市・沖縄産業支援センター
トイレに貼られた、節電を呼び掛ける、しまくとぅばシール

職員のアイデア

 平良さんが、シールを貼ったのは2014年。県が「しまくとぅば普及推進計画」を策定した翌年だ。「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ」。今でこそ、県の各部内でも定着した、しまくとぅばによるあいさつも、当時はまだ普及していなかった。

 同計画の前期目標は「しまくとぅばに親しみをもたせる」。平良さんは、事業とは別に、トイレや階段にシールでしまくとぅばを表示することを思いついた。「教え込むのではなく、耳や目から自然に入ってきて、まずは親しみを持ってほしかった」。

 自身も流ちょうにしまくとうばを話せるわけではない。シール作りには、専門家の助言を受けた。用いたのは一般的によく知られている那覇・首里の言葉を使った。トイレの男性のマークには「うぃきが(男)」、女性のマークには「うぃなぐ(女)」。エレベーターの扉や階段にある階数表示のそばに、「てぃーち(1)」から「とぅ(10)」まで表記した。

 ただ、しまくとぅばで11は「じゅーいち(11)」、12は「じゅーに(12)」。共通語とあまり変わらないため、11階以上は表示していない。

勝手連的動きも

 管財課の許可を得て、貼ったシールは200枚以上。時期は夏で「汗だくになりながら、半日かけて一人で貼っていった」と笑う。そのかいあってか、「こんな言い方もあるんですね」「11階以上はないけど何で?」。しまくとぅばがわからない、若い同僚からも反響があった。

 現在、しまくとぅばの普及事業からは離れた。「この数年で大分浸透してきた」と手応えを感じる。県庁各階のトイレに、新たなシールが登場したのもその一つ。「はいさい。人がいなければ、消灯うにげーさびら(こんにちは。人がいなければ、消灯お願いします)」。作成者は不詳。管財課も把握していないが、しまくとぅばを広げようという勝手連的動きを平良さんは喜ぶ。

 「しまくとぅばは琉球舞踊や沖縄民謡など沖縄文化の土台で、ウチナーンチュの誇り」。一方で、しまくとぅばといっても、地域ごとの言葉があるとし「ひとくくりにするのではなく、それぞれの地域の誇りとして継承していく必要がある」と訴えた。