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[大弦小弦]1955年、米軍に家を壊され、土地を奪われた…

2018年4月23日 07:23

 1955年、米軍に家を壊され、土地を奪われた伊江島の住民は本島に渡り、窮状を訴える「乞食行進」を始めた

▼プラカードに記す。「乞食をするのは恥ずかしい。しかし、われわれの土地を取り上げ、乞食をさせる米軍はもっと恥ずかしい」。その米軍を本土の安全地帯からかばう言論は「もっともっと恥ずかしい」ということになるだろうか

▼作家の百田尚樹氏が22日、宜野湾市で講演し、普天間飛行場周辺の住民について「商売のチャンスがあると集まった」と語った。生活の地を奪われた歴史を無視し続けている

▼昨年の名護市での講演に続いて、取材に行った。沖縄の記者なら誰でもいいのだろう、百田氏はまた講演の中で私を名指しし、あざ笑い続けた

▼観察と記録という仕事に徹したいのに、当事者の一人にされてしまい落ち着かない。でも、副産物があった。無料券をもらって来たという地元の男子高校生が「完全アウェーなのに」と声を掛けてくれた

▼伊江島土地闘争を研究する沖縄国際大の鳥山淳教授は、乞食行進をこう分析している。「姿をさらすことで、立ち退きに同意していない自分たちの存在を社会に可視化した」。高校生の彼は、百田氏の主張を信じたものか、決めかねている様子だった。その目に沖縄の住民史が映るきっかけになれば、うれしく思う。(阿部岳)

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