【うるま】新品の野球グローブを湯に浸し、圧力をかけて柔らかくすることで手になじむような感覚に仕上げる、グローブ作りの技術「湯もみ型付け」。沖縄県内に3人しかいない技術者の一人、喜久山翼(たすく)さん(34)=うるま市=は「いい道具と出会うことで、子どもたちにもっと野球を楽しんでもらいたい」と、きょうも野球への熱い思いを込めてグローブ作りに取り組んでいる。(中部報道部・松田麗香)

湯につけて柔らかくしたグローブをもみ型をつくる喜久山さん=うるま市江洲

 喜久山さんは、1999年の選抜高校野球で沖縄尚学が県勢初優勝を果たした際の野球部員で、記録員としてベンチに入った。大学卒業後、一度は本土で就職したが「野球に携わる仕事がしたい」と退職し、24歳でうるま市江洲に野球用品店を開業した。

 的確な捕球から送球へとつながるグローブを加工する「湯もみ型付け」は、厚生労働省認定の「現代の名工」にも選ばれた福岡県のグローブ職人・江頭重利さんが考案した技術だ。

 単にグローブを湯につけるだけでなく、手のひらや指の関節に似た形をグローブにつけるため、ひもの締め方や圧力のかけ方にこつがいるという。

 喜久山さんは、技術を公開しない方針という江頭さんのもとに8年間通い詰め、2年前にやっと正式な後継者の一人として指導を受けた。

 現在は、グローブ作りの傍ら、少年野球の監督も務める。「自分が子どものころに知らなかった知識や技術を子どもたちに伝え、どんどん野球を好きになってほしい」と話した。