問題が発覚した当初から、やること成すこと、すべてがちぐはぐである。政治家の責任意識や官僚の職業倫理は一体、どこへいってしまったのか。

 政府は24日の閣議で、セクハラ疑惑が報じられた福田淳一財務事務次官の辞任を正式に決めた。

 財務省のセクハラ調査も終わっていないのに、何の処分も謝罪もないまま、疑惑の当事者の辞職を認めてしまったのである。

 テレビ朝日は女性記者が取材の過程で福田氏から度重なるセクハラ被害を受けたことを記者会見で明らかにし、財務省に文書で抗議している。 公表された音声データを聞く限り、セクハラ発言があったことは明らかだ。

 しかし、福田氏は、辞任を表明した18日の会見でもセクハラを認めなかった。辞職を表明したのは「次官の職責を果たせなくなった」からである。

 辞任は当然だとしても、このような形で辞任を認めるのは納得できない。内部調査の対象になっているのだから、辞職願いを凍結し、「官房付」の人事を発令して真相究明を急ぐべきであった。

 閣議後の会見で麻生太郎財務相は、セクハラ疑惑について「はめられて訴えられているんじゃないか、との意見もある」と発言をした。

 一体、何の根拠があってそこまで言うのか。

 根拠もなく語ったとすれば、これは第2のセクハラであり人権侵害である。大臣としての資格を著しく欠いており、辞職すべきだ。

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 麻生財務相だけではない。

 自民党の下村博文元文部科学相は、女性社員の行動を「ある意味で犯罪だ」と講演会で批判した。

 自民党の長尾敬衆院議員は、「♯Me Too」のプラカードを掲げて抗議する野党の女性国会議員に対し、ツイッターで「セクハラとは縁遠い方々」だとやゆした。

 二人とも批判を受けて陳謝し謝罪しているが、軽率な発言で済まされる話ではない。

 麻生財務相であれ下村元文科相であれ長尾議員であれ、そのような失言が相次ぐということは、「セクハラは許されない」という価値規範が世間の常識よりも低いことを物語る。

 財務省は顧問弁護士の事務所に調査を委託し、女性記者に協力を求めた。要するに、弁護士に名乗り出てほしい、というのである。

 セクハラ被害者をどう喝するような無神経極まる発想である。

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 世界経済フォーラムが昨年11月、発表した男女格差の国別ランク(2017年)で、日本は144カ国中114位だった。

 日本は、「女性活躍」を政策に掲げながら、意思決定の場に女性は少ない。非正規雇用が多く、男女の賃金格差も大きい。

 こうして生じた男女格差は男女の上下関係を固定し、多くの場合、この力関係の下でセクハラが生じる。

 今回、セクハラ被害が認められなければ、日本は世界から「セクハラ社会」だと見なされるに違いない。