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  • 小西美術工藝社のアトキンソン社長が観光をテーマに那覇市で講演
  • 中国人観光客1人当たり投資額は日本は23万円だが、米国では66万円
  • 欧米など遠い国の上客に狙いを定めれば、訪日8200万人は実現可能

 沖縄公共政策研究所の2016年新春特別セミナーが26日、那覇市のタイムスホールであり、ゴールドマン・サックス証券の元アナリストで、小西美術工藝社代表取締役社長のデービッド・アトキンソン氏が「観光戦略をどう描くか。沖縄の強みと弱み」と題して講演した。アトキンソン氏は自然、気候、文化、食事といった観光客を引きつける条件に多様性のある日本は、訪日外国人客を現時点で年間5600万人まで、30年には8200万人まで伸ばせる潜在能力があると独自のデータを紹介。観光客が望むことを具体的に提案するビジネスの観点から観光を捉える必要性を説いた。

今後の沖縄観光戦略について語るデービッド・アトキンソン氏=26日、那覇市久茂地・タイムスホール

沖縄観光の魅力や展望、課題などについて意見を交わすパネリスト=26日、那覇市久茂地・タイムスホール

今後の沖縄観光戦略について語るデービッド・アトキンソン氏=26日、那覇市久茂地・タイムスホール 沖縄観光の魅力や展望、課題などについて意見を交わすパネリスト=26日、那覇市久茂地・タイムスホール

 アトキンソン氏は「距離の離れた国から訪れる観光客ほど滞在日数が長く、消費額が多い」と説明。「中国人の1人当たり観光消費額は、日本では23万円だが、米国では66万円になる。距離が遠いほど、移動にかける投資額が増えるので、消費や行動に差が出る」と述べた。

 その上で、国別の属性で観光客を見るのではなく、「観光にどれだけ投資をしたかで判断するべきだ」と強調。「日本は欧州が上客になり得る。遠方にターゲットを広げることで、観光客にも多様性が生まれ、相乗効果も期待できる」とした。一方、「おもてなしや治安の良さは観光資源にはならない」とも指摘した。

 30年には世界の観光需要は18億人に上るとの研究を基に、日本の外国人客数は8200万人まで伸びる潜在能力があるとの独自データを示し、「ビジネスとして、誰にどの観光資源をどのように見せ、いつ売り込むのかといった具体的な戦略があれば8200万人を上回るだろう」と述べた。

 将来性のある産業として、世界各国が観光分野で熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる中、「観光業は人対人の商売。相手の立場に立って、喜ばれるものを用意することが重要で、最終的にはやるか、やらないか。日本の潜在能力を引き出してほしい」と話した。

■客層定め魅力発信 外国人誘客へ3氏持論

 パネルディスカッションではデービッド・アトキンソン氏と、リウボウホールディングスの糸数剛一社長、JTB沖縄の宮島潤一社長が登壇し、外国人観光客を沖縄に呼び込むための課題などについて意見を交わした。3氏とも外国客向けのマーケティング調査の弱さや富裕層向けの魅力の少なさを指摘した。

 糸数氏は沖縄を訪れる外国客について「沖縄ではなく、一番近い日本として来ている」と述べ、日本全国の良質な商品や日本食を求めている需要に対応できていない現状を説明。さらに「人気がある沖縄の健康食品ももっと売り込んだ方がいい」と述べた。

 マーケティングでは、国別だけでなく、客層別にターゲットを定めて取り組んでいく必要性を強調した。

 宮島氏は「サービスは奉仕ではなく有料。適切なサービスを提供して、お金をもらうという意識が欠けている」と指摘。欧米人が求める多様なサービスや観光コンテンツの不足を課題に挙げ、首里城で琉球王朝時代の様子を再現するサービスを提案した。

 アトキンソン氏は、年収数十億円の知人が離島観光で要望に対応してもらえず、滞在を諦めたという事例を紹介。「簡単にできませんというと機会を失う。日本に来て、滞在したいという気持ちに応えていない」と述べ、意識改革を求めた。

 マーケティングについては、現在観光客が訪れている国への誘客プロモーションよりも新たな国の開拓が重要だと強調。欧米市場の獲得に向けて「なぜ来ないのかを徹底的に追求することが求められている」と訴えた。