日本の総人口が初めて減少に転じる一方で、沖縄県は人口増加率で全国トップを記録した。総務省が公表した2015年10月1日時点の国勢調査(速報値)で分かった。

 外国人を含む日本の総人口は1億2711万47人で、10年の前回調査と比べ、約94万7千人(0・7%)減った。津波・原発被災地3県など39道府県で減少し、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)への一極集中が浮き彫りになった。

 総人口が減少するのは1920年の調査開始以来初めてだ。予想されていたこととはいえ、本格的な人口減少社会の到来である。

 現役世代が減少し、高齢化が進む。介護や医療、年金などの社会保障費は膨らむ。対策は待ったなしである。

 安倍政権は、地方創生の総合戦略で「2060年に1億人程度を確保する」と長期ビジョンを示す。

 希望出生率1・8の目標を掲げているが、女性1人が生涯に生む子どもの数の推計人数を示す合計特殊出生率は14年、1・42と9年ぶりに低下した。同年の赤ちゃんの出生数も100万3532人にとどまり、過去最少を更新した。「1億人程度」に至るまでの道筋をもっと具体的に示す必要がある。

 沖縄県の総人口は143万4138人。10年の前回調査に比べ、4万1320人増えた。人口増加率は3・0%で、全国で最も高かった。

 出生率が全国一高いことによる「自然増」と、移住者が増えたことによる「社会増」が要因とみられる。

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 だが、県の人口増加率は鈍化しており、人口減少社会に突入するのは間違いない。県が15年9月に改定した「県人口増加計画」でも25年前後の約144万3千人をピークに減少に陥ると推測している。

 未婚化や晩婚化で合計特殊出生率が低下、待機児童問題が解消できない子育て環境の課題、壮年期の生活習慣病による死亡者数の増加や高齢者の平均寿命の伸び悩み-などを理由に挙げている。

 中南部などの24市町村で増加し離島や北部などの17市町村で減少した。離島や北部ではすでに人口減少が始まっているのだ。産業創出や雇用など県全体のバランスのとれた施策が求められる。

 移住者の受け入れも一つの方法だ。積極的な東村は一戸建て住宅や集合住宅を整備し、移住者の定着化を図っており、モデルになりそうだ。

 県は35年に約150万人、50年に約160万人の総人口を描く。他府県に比べまだ少し時間的な猶予がある。その間に十分な対策を立てたい。

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 国勢調査は衆院選挙制度改革にも影響を与える。

 有識者調査会は議員定数10減(小選挙区6、比例代表4)と、より人口比を反映できる「アダムズ方式」を答申。共同通信が15年国勢調査で試算すると、小選挙区は20都県で「9増15減(沖縄1減)」となった。影響を受ける自民党は「0増6減」を主張し、アダムズ方式に後ろ向きだ。

 国勢調査はさまざまな統計の基礎となる。人口減少の局面が鮮明になったこの時期に抜本改革も見据えたい。