セピア色の母子手帳をめくる。「はしか S50・11・30~12・8」。生後10カ月の私がはしか(麻疹)に感染したことを母親が記していた

▼聞けば、夕方から夜半にかけて全身に真っ赤な発疹が出て、39度の高熱。慌てて病院に駆け込んだという。幸い、10日ほどで症状は治まったが、重篤化しないか気が気じゃなかったらしい。私も子の親となり、その心配は痛いほど分かる

▼沖縄や愛知で麻疹患者が増えている。たった1人の外国人観光客によって持ち込まれたウイルスがここまで広がる。驚異の感染力をまざまざと見せつけられた

▼麻疹は合併症などで病状が重くなると、先進国でも千人に1人の割合で死に至る可能性がある。日本では2000年前後の流行で年間20~30人が亡くなった。沖縄でも9人の乳幼児が命を落としている

▼唯一有効な予防法とされるのがワクチンの接種。1991年以降に生まれた人は定期接種が2回となったが、それ以前は1回もしくはゼロ。子どもにきちんと受けさせることはもちろんだが、大人世代の積極的な接種が流行に歯止めをかけ、幼い命を守ることにつながる

▼過去に感染した人は抗体があるそうだが、家の近所の病院で尋ねると「長い時間がたてば、抗体が弱まることもある」とのこと。あれから40年余り。迷わず予防接種を打った。(西江昭吾)