「イリオモテヤマネコの日」の15日、西表島の中野わいわいホールで民間と町それぞれが主催する二つの記念シンポジウムがあった。いずれも今夏の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」世界自然遺産登録を見据えたもので、国内初登録の屋久島や世界初登録のガラパゴス諸島の現状と課題、取り組みを紹介。登録後に予想される西表島の観光客急増と過剰利用による環境負荷軽減に向け、入域客の総量規制の必要性を指摘した。

沖縄県内最長の19キロを誇る浦内川には、国内最多407種の魚類が生息。大河の恵みが西表島の希少種・固有種を守り育む(2017年、小型無人機で撮影)

世界遺産登録後のガラパゴス諸島について語る西表島エコツーリズム協会の大島佐喜子副会長=竹富町西表島・中野わいわいホール

世界自然遺産登録後の屋久島の状況や西表島の課題について語る(右から)大牟田一美さんと山雄介さん=竹富町西表島・中野わいわいホール

沖縄県内最長の19キロを誇る浦内川には、国内最多407種の魚類が生息。大河の恵みが西表島の希少種・固有種を守り育む(2017年、小型無人機で撮影) 世界遺産登録後のガラパゴス諸島について語る西表島エコツーリズム協会の大島佐喜子副会長=竹富町西表島・中野わいわいホール 世界自然遺産登録後の屋久島の状況や西表島の課題について語る(右から)大牟田一美さんと山雄介さん=竹富町西表島・中野わいわいホール

 NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」西表島支部やまねこパトロール主催の昼のシンポは「屋久島が教える、西表島が今すべきこと」と題し、屋久島うみがめ館(鹿児島県)の大牟田一美代表(67)が登壇。やまねこパトロールの高山雄介事務局長(36)との対談形式で、1993年の世界遺産登録後に直面した課題を語った。

 屋久島では年間10万人台だった入域数が登録後に増加し、10年後に40万人台を突破。近年は減少し30万人前後で推移するが、過剰な観光利用による自然劣化やウミガメの産卵率が低下するなどの生態系への影響が危惧されている。

 大牟田さんは、立ち入り制限など総量規制の導入を行政が検討しながら頓挫した経緯などを説明し、「増加後で屋久島は後手後手だったが、今でも観光客が多い西表島では、それ以上にひどくなる。行政含め今のうちに総量規制に取り組まないと屋久島の二の舞いになる」と懸念した。

 屋久島を視察した高山さんはインフラ整備による入域増やガイド利用率低下にも触れ、自然や住民生活への影響を考慮した立ち入り規制や入島制限の必要性を指摘。「島のキャパシティーに合った人数を定める必要がある」と述べた。

 町主催のシンポは「世界自然遺産登録地に求められること」がテーマ。西表島エコツーリズム協会の大島佐喜子副会長が視察したエクアドルのガラパゴス諸島の現状を報告。1978年の世界初登録後の急速な観光地化などで2007年には危機遺産リストに登録された(10年に削除)。

 移動時の厳しい検査や無ガイドはパスポート提示など徹底した入島管理やガイド認定制度を紹介。「しっかりしたシステムと監視態勢を整えた形が保全と利用につながっている。西表島でも見習えるところは取り入れ、意見交換し良い形になれば」と述べた。