名護市辺野古の公有水面埋め立てをめぐって県と国が争っている三つの裁判のうち、代執行訴訟と係争委不服訴訟の二つの裁判が29日、結審した。

 代執行訴訟は4月13日に、係争委不服訴訟は3月17日に判決が言い渡される。

 気になるのは、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が1月29日に示した代執行訴訟の和解案の扱いだ。和解案は根本案と暫定案の二つ。裁判のあと県側と国側がそれぞれ別個に、裁判所と非公開協議を行ったが、結論は出なかった。

 国が訴訟を取り下げ、辺野古での工事を止めた上で県と再協議するよう求めたのが暫定案である。

 県側代理人によると、県は暫定案に絞って和解協議に入るよう提案。裁判所側は新たに、和解後は地方自治法に基づく是正措置を速やかに実行するよう求める暫定案の修正案を提示した。

 裁判所側は、県と国の双方に、和解案の内容を公表しないよう求めている。公にされているのは概要だけである。

 静かな環境での協議を意図して公表を控えるよう求めているのかもしれないが、内容を公表しないまま、県が和解案の諾否について最終的判断を下すことはできない。

 前知事は、国と「密室協議」を重ねた末に、県民への事前説明もないまま、県外移設の公約に反して埋め立てを承認した。非公開の和解協議は、県民から見れば一種の「密室協議」にほかならない。

 裁判所には、和解案の早急な公表を求めたい。

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 遅れ気味の本体工事を急ぎ、埋め立てを既成事実化したい防衛省は、暫定案による和解に否定的だといわれる。

 だが、裁判で浮かび上がってきたのは、防衛省の強硬路線を理屈付けするための、国の強引な法解釈と地方分権軽視の姿勢である。

 2000年4月から地方分権一括法が施行され、国と地方公共団体の関係は大きく変わった。機関委任事務は廃止され、地方に対する国の包括的指揮監督権も廃止された。国の関与は必要最小限度のものとし、国が関与する場合、地方の自主性・自立性に配慮しなければならないことがうたわれたのである。

 翁長雄志知事による埋め立て処分取り消しについて、沖縄防衛局が国交相に執行停止を申し立てたこと、国交相が執行停止を決定し、並行して代執行訴訟を提起したことは、地方分権一括法の趣旨に反し、自治権を侵害する強権的手法そのものである。

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 代執行訴訟、係争委不服訴訟、抗告訴訟の3訴訟に共通するのは、県が自治権(自己決定権)侵害を前面に掲げている点だ。辺野古訴訟の核心はここにあるといっていい。

 代執行訴訟で前回、法廷に立った翁長知事や、今回、発言した稲嶺進名護市長が強調したのは、米軍統治下の基地接収の歴史と過重負担の現状、米軍基地が集中するゆえの自治権・人権の侵害だった。国は、裁判所が異例の和解勧告を行った意味を正面から受け止め、強硬路線をあらためるべきである。