劇場型の政治が良いとは言わないが、選挙は面白いに越したことはない。つまらなければ注目されず、投票率までも落ちてしまう

▼その最たるものは、世界が注目する米大統領選だろう。候補指名を争う州ごとの予備選・党員集会で負けが込めば、敗北を宣言して撤退する。1年がかりの選考はショーアップされ、ドラマを生む

▼今回の主役は共和党の不動産王トランプ氏(69)。差別的で過激な発言を繰り返し、大方のメディアや識者はいつか支持率を下げると楽観視していたが3勝1敗。指名を獲得しそうな勢いだ

▼民主党の準主役はウォール街を批判するサンダース上院議員。格差問題に切り込んで74歳にして若者の支持を集め、本命視されているクリントン前国務長官(68)から1勝をもぎ取った

▼異変は名門ブッシュ家にも降りかかった。ブッシュ元フロリダ州知事(63)は既に姿を消した。メディアも共和党寄りのワシントン・ポスト紙が、党指導者に全力でトランプ氏を阻止すべきだと異例の社説を掲載したほどだ

▼テロへの不安やメキシコからの不法移民への不満、格差の拡大などを背景に、むき出しの感情と資本主義への懐疑という、これまでにない米国民の姿を見る思いだ。きょうは序盤戦のヤマ場スーパーチューズデー。トランプ氏主役の舞台が続けば、世界がおののく。(与那嶺一枝)