氏名の下に「メンバー」と付ける聞き慣れない呼び方に違和感を覚えた人は多いのではないか。テレビの速報を見ながらそんな疑問が頭をよぎった

▼人気アイドルによる事件は呼称を巡っても注目を集めている。多くのメディアが本紙と同じ「メンバー」を使い、一部全国紙は「容疑者」とした。「さん」という敬称や呼び捨てもあり、判断は分かれた

▼本紙は記事の配信を受ける共同通信に基本的に準じている。元SMAPの2人が逮捕されたときは「容疑者」と報じた。今回との違いは身柄が拘束されたかどうかである

▼書類送検された人が著名人で実名となるケースは複雑である。「肩書」か「敬称」を使う原則があるが、共同通信は今回、重大な性犯罪であるとしてまず「敬称」を避けた。「○○社長」のような「肩書」も当てはまらないため「メンバー」とし、本紙も合わせた

▼メディアに詳しい専修大学の山田健太教授は今回の報道全般に厳しい目を向ける。「基本的には呼称で差をつけるべきではない。人権に配慮するなら全員に氏のような敬称を付ければいい」と指摘する

▼全国の報道機関と同様に本紙は29年前まで逮捕された人を呼び捨てにしていた。取材現場では日々決断を迫られる。人権を大切にしながら、まずは理由を説明できるよう努めたい。(溝井洋輔)