「多様性はどこに?」「またも同じ顔ぶれ」。ことし1月のロサンゼルス・タイムズなど米紙の見出し。米映画界最大の祭典、アカデミー賞の演技部門候補者が2年連続で全員白人だったことを報じたものだ

 ▼これに、名誉賞の受賞が決まっていた黒人映画監督のスパイク・リーさんが抗議し、授賞式のボイコットを表明したことが波紋を広げた。映画界の人種問題がクローズアップされるきっかけにもなった

 ▼「白人が選んだ賞へようこそ」。日本時間の29日に発表されたアカデミー賞の授賞式で、司会を務めた黒人コメディアンのクリス・ロックさんはこう揶揄(やゆ)した。ジョーク交じりとはいえ、問題の根深さを感じる

 ▼選出の偏りの要因に、米映画芸術科学アカデミーの選考会員の多くが白人であることが指摘されている。アカデミーは女性や少数派を増やす改革案を発表しているが、選考基準なども明確にしてほしい

 ▼肌の色で作品の良しあしが決まるわけでも、選ばれるわけでもない。見る側にとっても作品の楽しみ方やとらえ方、感想、解釈は千差万別。映画は多様性があるからこそ人を引きつけるのだろう

 ▼2年連続で監督賞を受賞したメキシコ出身のアレハンドロ・G・イニャリトゥさんは「全ての偏見から解き放たれる好機」と述べた。全世界が共有すべきメッセージだ。(赤嶺由紀子)