丸い黒縁眼鏡に、赤白の横じまのシャツと帽子。とくればお分かりだろう。人混みから特徴的な風貌の男性を見つける人気絵本「ウォーリーをさがせ!」が世に出て30年。東京・銀座で開かれている記念展に足を運んだ

▼日本初公開の原画など約150点が並ぶ。魅力は何と言っても単純明快なコンセプトに、圧倒的な絵の密度。会場でも細かさに目を奪われ、思わずウォーリーを探してしまう

▼百科事典を読むのが好きだった英国人作者マーティン・ハンドフォードさん(61)の幼少期の絵もあったが、わずか7歳で今と匹敵する緻密さに仕上げていた。非凡な才能の片鱗(へんりん)がのぞく

▼旅人であるウォーリーが出没するのは現代の地球上にとどまらない。石器時代や古代エジプト、はたまた未来の宇宙まで。日本の戦国時代も登場するから、歴史とファンタジーが織りなす一大絵巻に思えてくる

▼実は絵には遠近法があるようでない。本来なら小さく見えるはずの奥側と手前で人の大きさはほぼ同じ。物理法則を飛び越え、現実では再現し得ない異次元空間も魅力の一つだろう

▼どんな雑踏に紛れようとも柔和なほほ笑みを振り向けるウォーリー。作者は、身の回りの小さな発見に驚きや喜びを感じ続ける存在として描く。その素朴さと優しさが世界中から愛される理由なのかもしれない。(西江昭吾)