【東京】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は4日(現地時間3日)、政府が世界自然遺産に推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)について、推薦書の抜本的な改定を求め「登録延期」を勧告した。政府が4日発表した。最終的な登録の可否は、6月24日から7月4日までバーレーンである世界遺産委員会で決まる。今年の登録は厳しい見通し。

世界自然遺産候補の区域

想定される登録までの道のり

世界自然遺産候補の区域 想定される登録までの道のり

 勧告では、米軍北部訓練場の返還地を対象に加え、希少生物が少ない地域を除外するよう求めた。国内の自然遺産の審査で、諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)から延期勧告が出たのは初めて。

 二つの評価基準のうち「生態系」では、推薦した計約3万8千ヘクタールが24区域に分断され、本島北部や徳之島では飛び地も多いため「基準に合致しない」とした。「生物多様性」は絶滅危惧種や固有種の多さを高評価。2016年に返還された北部訓練場の一部を推薦地に加えるなど全体的な区域の見直しや再構成をすれば「基準に合致する可能性がある」と評した。

 環境省で会見した奥田直久自然環境計画課長は「指摘を受け止め分析したい。IUCNに誤解があれば適切に説明する」とした。

 政府が17年2月に提出した推薦書には北部訓練場の返還地を対象に含んでおらず、今年7月をめどにやんばる国立公園に編入し、将来的には自然遺産に組み込む方針だった。推薦地に隣接する北部訓練場の影響について奥田課長は「マイナスに働いたとは理解していない」と話した。

 政府と県は勧告を精査し、6月8日までにユネスコへ追加資料を出すことも検討する。

 今夏の世界遺産委の正式審査で延期が決まれば、環境省は「生物多様性」に重点を置いて推薦書を改定して再提出する方針。再びIUCNの調査を受ける必要があるため、最速でも次の審査は20年夏になる。

 一方、江戸時代を中心としたキリスト教禁制の歴史を伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)について、ユネスコの諮問機関は世界文化遺産に登録するよう勧告した。

 【ことば】奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島 鹿児島、沖縄両県の4島で構成する世界自然遺産の候補地。大陸から島が分離する過程で生物が独自の進化を遂げ、多様性に富んだ生態系をつくり上げたのが特徴。環境保全のため、政府は候補地一帯を奄美群島、やんばる、西表石垣の各国立公園に指定している。九州・沖縄では、鹿児島県の屋久島も世界自然遺産に登録されている。