血の通った判決と思え、ホッとした。認知症の男性が電車にはねられて死亡した事故で、JRが遺族に賠償請求していた裁判。最高裁は一、二審の判決をひっくり返し、遺族に監督責任はない、とした

 ▼大変な在宅介護の末に大事な人を亡くした悲しみの中で責任を問われた家族の心中は、想像するだけでつらくなる。もし家族に監督義務を負わせる判決が確定したら「認知症になったら施設へ」「高齢者は出歩かせない」となる恐れがあった

 ▼ただ、不安は残る。認知症高齢者が事故に遭う恐れがなくなるわけではなく、相手側への補償問題もある。早急な見守りネットワークの構築や補償の仕組みづくりは、社会全体の重要な課題になった

 ▼加えて、周囲の細やかな目配りが必要だろう。沖縄市泡瀬では区を挙げて地域の力で、高齢者の見守りと子ども食堂などに取り組もうとしている。ご近所の力が発揮されることに期待したい

 ▼防災訓練やお楽しみイベントなど各地の行事で、高齢者と子どもたちが力を合わせる場面に出合う。大人が子どもを、子どもが高齢者を気遣う姿は、ほほ笑ましく、頼もしい

 ▼地道な取り組みの積み重ねで人が触れ合い、つながる力を蓄えているように感じる。高齢者や子どもの見守りは、いずれも地域の力があってこそ前進できるように思う。(安里真己)