急増する金の密輸に歯止めをかけようと、沖縄地区税関(若林仁税関長)が「門型金属探知機」を導入し、取り締まりを強化している。同税関が2017年に摘発した金の密輸は46件で、前年比約11倍の過去最多を記録。押収量133キロは前年比約5倍に上った。同税関は10日までを取り締まり強化月間とし、密輸対策を強化する。

新たに導入された門型金属探知機(中央)で金の密輸取り締まりを強化する=那覇空港国際線ターミナル

全身を瞬時に確認

 同探知機は、高さ約2メートル、幅約1メートルのゲート型。2月22日までに那覇空港国際線ターミナルや大型外航クルーズ船が寄港する那覇市の若狭バース、新石垣空港など県内に計5機が設置された。全国で順次、導入されている。

 従来の「携帯型金属探知機」はボディーチェックの要領で体全体に機器をかざすため時間がかかる。導入機は旅客がゲートを通過するだけで全身を瞬時に確認でき、密輸を見逃さないのが利点。税関担当者は「旅客のプライバシーにも配慮できる」と効果に期待する。

 那覇空港国際線ターミナルでこのほど、導入機が報道陣に公開された。金属に反応すると、赤いランプが点灯しアラームが鳴る。

 一方、「改正関税法」では罰金額が最大500万円から1千万円に引き上げられた。さらに、密輸した金の5倍の価格が1千万円を超える場合は、元値の5倍まで罰金を科せられるなど強化された。

 那覇空港税関支署の譜久山修支署長は「二つの効果で密輸の抑止に期待が持てる」と強調する。

密輸増加の背景に消費税

 金の密輸が増加する背景には、消費税が14年4月に8%に増税されたことがある。本来「金」は輸入が禁止されておらず、海外から持ち込む際は税関に事前に申告し、消費税分などを納めれば違法性はない。

 密輸犯が税関検査をすり抜け、国内で金塊を流通させた場合、元値に消費税8%分を上乗せした額で売却でき、その分が「利ざや」になる。消費税が10%に上がった場合は、さらに「利ざや」が増えるため、密輸の増加が懸念されている。

 同税関が昨年、密輸で摘発した容疑者の国籍別の内訳は、台湾が最多の19人、香港が14人、中国が11人と続き、3地域・国で全体の8割を占めるなど、アジアからの密輸が多い。