4月20日から空転している国会が8日から正常化する。

 与党が提案した柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)を10日に衆院予算委員会で参考人招致することを野党が受け入れたためだ。

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬氏が2015年4月に学園関係者と面会したことを認める見通しとなったことから与野党協議が始まった。

 柳瀬氏は国会で「記憶の限り、愛媛県や今治市の職員とは会っていない」と繰り返していた答弁を修正するという。一貫して否定していた答弁をこんな簡単に変更できるものなのだろうか。

 柳瀬氏の発言が突然変わるのは理解に苦しむ。国会の正常化を図りたい与党の思惑がありそうだ。

 柳瀬氏の答弁では「加計学園関係者とは会ったが、県や市職員がいたか分からない」との案が浮上しているという。前言を撤回して加計学園関係者と会ったことを明言しながら、愛媛県や今治市の職員がいたかどうか分からないというのは常識的に考えても通用しないのではないか。

 愛媛県職員が15年4月に官邸を訪れ、国家戦略特区担当だった柳瀬氏と面会した際のやりとりを記した文書に「本件は首相案件」と発言したとの記載がある。愛媛県文書と同じ文言の文書が農林水産省にも残っているが、柳瀬氏は「首相案件」との発言は認めない可能性が高いという。

 参考人招致が決まった柳瀬氏は「誠実にしっかりお話ししたい」としており、真実を語るべきだ。

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 国会は国民の代表が議論を戦わす場である。行政の公正性・公平性への疑惑の解明は与野党問わず国会の務めだ。

 野党が求めていたのは柳瀬氏らの証人喚問、麻生太郎財務相の辞任、森友文書改ざん問題で調査結果の4月中公表、自衛隊「日報」隠蔽(いんぺい)問題の真相究明-である。麻生氏には前財務次官のセクハラ疑惑への不適切な対応もある。

 与野党協議で森友改ざん前の文書提出、日報の調査報告のめどでも合意。審議拒否を続ける野党への批判もあるが、政府・与党が応えていなかったことを考えれば、空転の責任は政府・与党にある。

 政府・与党は今国会の最重要課題と位置付ける働き方改革関連法案を野党抜きで審議入りしている。過労死や長時間労働につながるとの指摘が依然残る問題含みの法案である。野党は対案を準備しており、強引に審議するのは政府・与党のおごりである。

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 安倍晋三首相は森友、加計問題で「国民の疑念が向けられるのはもっともだ」と認める。「全容を解明し、うみを出し切る」とも言うが、言行不一致である。柳瀬氏にしても森友文書の改ざん、日報の隠蔽にしても安倍首相が「包み隠さず、事実をすべて明らかにせよ」と命じれば、済むことではないのか。

 民主主義の根幹である文書の改ざんや、日報隠蔽はシビリアンコントロール(文民統制)が機能しているかの重大な問題である。全容解明に懸ける安倍首相の決意が言葉だけなのかが問われている。