「えっ、まさか」。名護市辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相が工事中止の和解案を受け入れる方針を固めたとのニュースが4日昼に飛び込み、思わず声を上げた。昼食時ののんびりとした空気も吹っ飛んだ

▼和解成立で国、県双方が訴訟を取り下げ、埋め立て工事を中止し、協議する。県側は前向きだったが、工事中止という前提に国側が難色を示していた

▼福岡高裁那覇支部の勧告文で、代執行訴訟の状況を国と地方が対等とする改正地方自治法の精神に反すると明記された。自らの強引な手法と翁長雄志知事の一貫した新基地阻止の姿勢で国は和解に追い込まれる形になった

▼一方、国側には裁判闘争による県との厳しい対立が6月の県議選や夏の参院選への悪影響を懸念し、問題を一時棚上げする狙いも見える

▼思い返せば、2014年には知事選前から中止。集中協議期間の中止は、安全保障関連法案に対する幅広い層からの強い反発を招いているときだった。安倍首相がいうように和解が「国と沖縄が協力する第一歩」とは額面通りに受け取れない。「辺野古移設が唯一の選択肢」は変わらない

▼工事の中止と協議でぬか喜びはできない。だが、国と県が向き合う機会の意義は大きい。「県民に寄り添った協議」(翁長知事)で移設断念につなげたい。(与那原良彦)