【平安名純代・米国特約記者】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で沖縄県と日本政府との間で和解が成立したのを受け、米政府内で安堵(あんど)感が広がっている。複数の裁判が長期化し、辺野古移設の行方が司法の手に委ねられて見通しが立てられなくなるという「最悪のシナリオ」が回避されたとの思いからだ。

辺野古訴訟の和解が成立し米政府内では安堵感が広がっている

 「裁判の長期化だけは何としてでも避けたかった。最悪のシナリオは回避された」

 普天間移設問題に関わる米軍高官は「訴訟は日本国内の問題。われわれは関与しない」との姿勢を保ちつつ、本音を漏らした。

 国防総省は、訴訟で計画の再考を迫られた裁判をすでに経験している。

 2010年11月。在沖米海兵隊のグアム移転に伴い、現地に予定されていた実弾射撃訓練場の建設地をめぐり、地元住民らがゲーツ米国防長官(当時)や国防総省などを相手取り、工事差し止めを求めた訴訟をホノルルの連邦地裁で起こした。

 予定地は先住民チャモロ族の遺跡があるパガット村で精神文化の中心といわれる場所。住民らの抵抗ですでに大幅な遅れが生じていた計画は、環境影響評価(アセスメント)をやり直し、日米両政府は14年とされていた移転計画の完了年の先送りを余儀なくされた。米議会はこれを問題視し、グアム移転予算を削除する対象とした。

 「ハリス太平洋軍司令官が辺野古移設は25年と証言したのは、責任は日本にあると米議会に強調するためだろう」。国務省筋は、2月23日の上院軍事委員会の公聴会で、同氏が辺野古移設に踏み込んで言及した理由をそう分析した上で、2月上旬に、代執行訴訟で日米にとって最善の選択肢を日本側と協議していたことを打ち明けた。

 米政府は4日、普天間の移設先を辺野古と定めた現行計画の堅持をあらためて表明した。

 国務省筋は「詳細は日本側との協議で確認するが、今後は裁判が一本化され、ある程度の見通しが立つ」と話し、「安倍首相は辺野古が唯一と再び言明している。円満解決とは滞りなく辺野古移設を進めるという意味だ」と分析している。