結婚記念写真が多様化している。スタジオでお決まりのポーズを決めるスタイルから、結婚式や披露宴の様子を記録するスタイル。さらに、屋外へ飛び出して絶景の中で撮影する「ロケーションフォト」や、インスタ映えする小物を取り入れる試みも登場した。支えているのはカメラや画像処理の技術だけではない。スマートフォンが普及して海外トレンドを気軽に調べられるようになり、新郎新婦からカメラマンへ具体的に注文できるようになったことも大きいという。業界では「今後は世界中のSNSの投稿をチェックしないといけない」との声も出始めている。(政経部・平島夏実)

指の腹にイラストを描いてポーズを取る新郎新婦(ビック沖縄提供)

北谷町のアメリカンビレッジで撮影したロケーションフォト(ラヴィ・ファクトリー提供)

イニシャルの置物を飾って撮影に臨む新郎新婦(ビック沖縄提供)

指の腹にイラストを描いてポーズを取る新郎新婦(ビック沖縄提供) 北谷町のアメリカンビレッジで撮影したロケーションフォト(ラヴィ・ファクトリー提供) イニシャルの置物を飾って撮影に臨む新郎新婦(ビック沖縄提供)

最初の変化は30年前

 結婚記念写真はもともと、写真館で撮影するのが主流だった。どの施設でも(1)新郎の立ち位置は向かって左(2)新郎は手袋、新婦は花束を持つ-が共通ルール。カメラマンは三脚を構え、照明を整えてポーズを取らせた。フィルムは2枚撮りか、10枚または12枚撮り。いずれも高価で、一カット一カットが勝負だった。

 最初の変化が生まれたのは約30年前。24枚や36枚撮りが普及し、カメラマンは式や披露宴を時間軸に沿って連写するようになった。さらにオートフォーカス機能が登場。沖縄リゾートウェディング協会の幹部は「撮影の主導権がカメラマンから新郎新婦へ移った」と振り返る。

 今は一般的に、結婚記念写真をアルバムにする。「実は1990年代後半に中国、台湾から取り入れた」と冠婚葬祭業レック(神戸市)で写真部門を担うラヴィ・ファクトリーの山本真嗣沖縄エリアマネージャー(46)は説明する。

 中国や台湾では当時、記念写真を丸く切って台紙に埋め込み、アルバムに仕立てていた。レックの高橋泉社長が現地で知って感激し、ブライダルフェアで提案すると1、2年で一気に全国へ広まったという。

個性を表現できる時代に

 2000年代に入るとカメラは、フィルムからデジタルへ大きな転機を迎えた。パソコンソフトで色味の調整までできるようになり、撮影の自由度は格段に上がった。カメラマン歴30年のビック沖縄の屋部司常務(49)は「個性をいっそう表現しやすくなった」とみる。

 結果、世界遺産や観光施設、離島に出掛けて絶景を背景に撮る「ロケーションフォト」が生まれた。沖縄の自然や文化施設は地元カップルにも人気のロケ地。国内外からは2017年、ウエディングのために新郎新婦1万7288組が訪れ、過去最高を6年連続で更新した。

 近年はさらに、欧米スタイルを取り入れる動きもある。「夫」「嫁」と書いた棒付きキャンディーのような小道具や、付けひげなど「フォトプロップス」を持つのが一例。「ハッピーウェディング」の文字を入れた三角旗をつるしたり、イニシャルを模した置物を写し込んだりするカップルもいる。

 屋部さんは「お客さまの方から提案が寄せられる時代。沖縄の風景の素晴らしさを発信しながら応えていきたい」と話している。