「辺野古訴訟和解」のニュースが、米軍キャンプ・シュワブゲート前で座り込む市民らの耳に飛び込んだのは、「さんしんの日」に合わせ「かぎやで風節」が響き渡った直後だった。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは、はじけるような笑顔で参加者と肩を抱き合い、カチャーシーで喜びを表現した。

 工事車両の進入を阻止しようとゲート前で座り込む抗議行動は600日を超える。海では海上作業を阻もうとカヌー隊の行動も続いている。

 この体を張った闘いがなければ今ごろ海に土砂が入り、後戻りできない状態になっていただろう。一時的とはいえ非暴力の直接行動で工事中止を勝ち取った意味は大きい。

 工事を中断に追い込んだのは、市民らの粘り強い抗議行動と翁長雄志知事の一貫した姿勢である。

 辺野古で繰り広げられている闘いは、沖縄だけに基地を押し付ける差別的対応への怒りと、沖縄のことは沖縄が決めるという意識の高まりを背景にしている。 

 和解成立のニュースに沖縄では「安堵(あんど)」と「不安」、「評価」と「警戒」の感情が渦巻いた。

 日米が米軍普天間飛行場の移設条件付き返還に合意して今年でちょうど20年。この間、実にさまざまな動きがあり、県民は米軍の度重なる計画変更や日本政府の不誠実な対応に振り回されてきた。

 和解成立でわき上がる複雑な感情を、沖縄の人々の立場に立って理解しない限りこの問題は解決しない。

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 電撃的な和解から一夜明けた5日、ゲート前にはいつも通り座り込む人たちがいた。

 工事を中断し県と話し合うとしながら「辺野古が唯一」と平然と言ってのける政権への警戒心が解けないからだ。

 昨夏、県と政府は1カ月工事を中断し集中協議に臨んだが、結局、論点はかみ合わず決裂した。政府は安保法案など最重要課題を処理する時間稼ぎに利用したのである。

 今回、国が和解を受け入れたのも、6月の県議選や夏の参院選をにらんでのことだといわれる。もし政府が再び県民をもてあそぶような対応を示せば、反発は倍となり、問題は泥沼にはまり込む。

 裁判所が和解勧告文で「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべき」としているのは重要な指摘だ。

 それでも安倍政権が、辺野古以外選択肢はないと繰り返すのは、思考停止以外のなにものでもない。

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 和解条項に基づき国と県が再協議する間に、官邸を動かす外部の力をどう創出していくか、正念場はこれからだ。

 民主、共産など野党5党は、参院選での共闘に向けた共通政策で、民意に反した辺野古移設への反対を盛り込む方向で調整している。国会での論戦も深めてもらいたい。

 和解勧告文にあるように辺野古問題はオールジャパンで考えることが重要である。

 国と県には与えられた対話の機会を「真の対話」とするよう強く求めたい。それが立場を超えた県民の要求でもある。