大浦湾を望む名護市瀬嵩。住民の渡具知智佳子さん(54)が「ストーカー被害」を訴えて、もう20年近くになる。どうしても基地を造らせてほしい、と付きまとっているのは国だ

 ▼「嫌い」と断っても、そのたびに「本当は僕のこと好きなんでしょう?」「今度はどう?」。渡具知さんのため息は深い。海上ヘリポート案、沖合案、今のV字案と付きまといが続く

 ▼国にすれば今度こそ完璧な計画のはずだった。抗議行動を避け基地内から埋め立てる。周辺の海に立ち入り禁止区域を拡大し、逮捕をちらつかせる。陸上には警視庁の機動隊も投入した

 ▼それでも知事の抵抗、陸と海の抗議で遅れに遅れた工事。強行突破を狙った裁判を前に、国は「百パーセント負けない」と豪語していた。しかし、全てはストーカー特有の一方的な思い込みだった

 ▼国が敗訴を恐れて和解に転じ、作業用施設の撤去が始まった大浦湾。その光景は、沖合案調査のやぐらが撤去された2005年と重なる。沖縄はまた勝った

 ▼裁判所は和解勧告で、普天間飛行場の騒音の違法性と辺野古新基地建設の難しさに触れた。普通に考えれば宜野湾にも名護にも居場所はない。司法の介入は、国がゆがんだ「辺野古愛」とストーカー行為を卒業し更生する絶好の機会だ。渡具知さんは「とにかく諦めて」と願っている。(阿部岳)