手元に一冊の詩集がある。「空とぶうさぎ」。男声コーラスグループのボニージャックスが33年前、障がいのある子どもたちが作った詩49編をつづったものだ

▼結成60年を迎えた彼らはライフワークとして全国の福祉施設や特別支援学校を訪ね、出前公演を続けてきた。その時、出会った子どもたちの詩。「美しい作品を世の中に伝えたい」。その思いからレコード化を働き掛け、書籍にもなった

▼詩に曲をつけたのは、「めだかの学校」などで知られる中田喜直さんや磯部俶(とし)さんら日本を代表する作曲家。歌の著作権も登録し、印税は作詞者に渡るようにした

▼「プロと同じ扱いにしました。わずかばかりだが、形となって現れれば子どもたちの喜びになる」。メンバーの鹿島武臣さん(84)はこう語る。詩が良かったからです、と繰り返す言葉は包み込むように温かい

▼うるま市の山城誠美さん(57)の「手のつかえない花嫁」も詩集に収められた一つ。沖縄市の公演で披露され、ボニージャックスの繊細なハーモニーが響いた(9日付27面)

▼詩集には病気で短い生涯を閉じた子どもの作品も多い。〈ぼくが体が不自由なのは 神様がぼくならきっと苦しみにたえられるからと思ったからだ ぼくは神様にえらばれたのだ〉。筋ジストロフィーだった男の子。歌声は天国にも届いている。(西江昭吾)