自らの欲のみに忠実に生きる人間が、これでいいのかと立ち止まる瞬間というのは、自分や愛する者に回避できない不幸が訪れた時だけなのだろうか。

「修道士は沈黙する」の一場面

 ドイツの高級ホテルで開かれる国際的会議に合わせて、天才的エコノミスト、ロシェの誕生日パーティーも予定されていた。そこに招かれたイタリアの修道士サルス。会議の前夜、サルスはロシェから告解がしたいと告げられる。翌朝、ロシェは死体となって発見される。他殺か自殺か。サルスは警察や会議出席者から告解の内容を執拗(しつよう)に問われる事となる。

 修道士の苦悩を静かに描きながら、肥大する資本主義への危惧と人が究極の判断を迫られた際、あなたは何を基準とするのかと突きつけられたような映画。まさに大人の社会派ミステリー。(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマパレットで11日から上映