大人たちは言う。肉体の欲望と「愛してる」はイコールではないと。

「さよなら、僕のマンハッタン」の一場面

 主人公トーマスは、愛と欲望を混同中の男の子。社会人寸前のところで将来を見いだせずに足踏み状態。心機一転、1人暮らしを始めてみたけれど、頭の中は1度だけ関係を持ったミミのことばかり。

 「私とあなたは友達よ」とミミ。「そんなの美人の常套句(じょうとうく)だ!」と怒りながらも、諦めることができない。そんなある日、父親の不倫現場に遭遇。お相手は父よりも10歳以上若いであろう超美人のジョハンナ。いろんな意味でもんもんとする気持ちを抑えられず、ジョハンナを尾行するうち、彼女に魅了されている自分に気づいたトーマス。これは欲望なのか、愛なのか。それとも、高圧的な父への当てつけか? 愛に振り回されながら、少しずつ、いい男に成長するトーマスがまぶしい1本。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で12日から上映予定