名護市辺野古への新基地建設をめぐり石井啓一国土交通相は7日、埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分に対し、是正を指示した。

 取り消しをめぐっては、国が県を提訴した代執行訴訟で、4日に和解が成立したばかり。安倍晋三首相は和解を受けて同日「辺野古への移設が唯一の選択肢であるという国の考え方に何ら変わりはない」と述べており、それを具体化した形だ。

 和解は(1)国は工事を中止する(2)埋め立て承認取り消しをめぐる手続きを正常化する(3)国と県は円満解決に向けて協議する-の三つの柱からなる。国の是正指示はそのうち(2)に当たる。

 一方で菅義偉官房長官は7日の会見で「沖縄県と進め方について協議していきたいというふうに思っている」と述べ、(3)にある県との話し合いについては、協議の在り方すら決まっていないことを明らかにした。

 和解を受け入れたなら、少なくとも是正指示と並行して県と協議の場を持つべきだ。

 安倍首相は和解条項を持ち出し「円満解決に向けて話し合いを進めていきたい」と翁長知事に呼び掛けてもいた。その舌の根も乾かぬうちの是正指示だ。傍若無人な態度であり、強権的な姿勢は一向に変わらない。

 政府側に話し合う姿勢はまるで見えない。

 昨年夏、政府が県と集中協議するとして約1カ月の期間を設定したことを思い出す。

 工事を中断し「歩み寄り」をアピールしたが、協議とは名ばかり。「辺野古が唯一の解決策」との言葉を繰り返す政府の姿勢に、県は話し合いの端緒さえつかめなかった。

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 今回も工事は中断されている。本来なら、国側の提訴取り下げにより正常化された法的手続きを進めながら、双方による真の話し合いが行われるはずだ。その期間は、もし新たな訴訟が始まった場合でも半年以上を有するとみられている。

 和解勧告では、その間の協議の方向性について「最善の解決策を合意して米国に協力を求めるべきである」とし、国と県に対し計画変更を前提とした協議を求めている。

 こうしたことを鑑みれば、そもそも「辺野古唯一」はあり得ないのである。

 協議の場すらつくらないままの是正指示は、和解の趣旨を全くないがしろにしたものと言わざるを得ない。

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 今回の是正指示は、和解により、結果的に修正されることになった法的手続きの一つだ。国が本来、代執行訴訟の前に取るべきだった措置である。

 安倍政権は、国と県を対等・協力の立場とする改正地方自治法上の必要な手続きを一切抜きにした提訴を閣議了解した。政権として法の精神を無視し、沖縄県の自治権を脅かした事実は法治国家において極めて重大だ。

 瑕疵(かし)を修正し是正指示に臨むなら、何より政府がしなければならないことがある。

 それは自らの非を認め、沖縄県と県民へ謝罪することである。