史上初となる米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開かれる。

 最大の焦点は、朝鮮半島の非核化で、具体的な核放棄措置や期限、検証方法で合意できるかどうかである。

 朝鮮戦争以来、約70年も敵対関係にあったことを考えると、歴史的な会談となるのは間違いない。

 トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談の日時と場所をツイッターで報告。「世界平和のために、非常に特別な瞬間にする」と投稿した。記者団にも「大成功を収める」と意欲を語った。

 米朝首脳会談の正式決定は、双方が水面下で合意に向けた道筋を一定程度つけたからだとみられる。

 首脳会談の発表前に北朝鮮が拘束していた米国人3人が解放され、ポンペオ米国務長官とともに帰国した。首脳会談前に、北朝鮮が障害を取り除いたとみることができる好材料だろう。

 だが両国の主張には大きな隔たりがあるのも事実だ。

 トランプ氏は会談で「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」を求め、短期間での大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器廃棄を迫る考えといわれる。

 これに対し、金氏は核実験とICBM発射実験の中止や北東部の核実験場廃棄を決定。非核化の「段階的措置」を取りながら、見返りに米国に体制保証や経済制裁緩和を求めるとみられる。

 両首脳には非核化への道筋をつけるべく最大限の努力を図ってもらいたい。

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 米朝首脳会談を前に、北朝鮮と日中韓3カ国の動きも目まぐるしい。

 金氏は1カ月余りの間に、2度目も訪中し、習近平国家主席と会談した。金氏は中国を後ろ盾にしたい考えで、非核化について「段階的で歩調を合わせた措置」が必要とし、理解を得たようだ。

 日中韓首脳会談も行われ、北朝鮮の完全な非核化に向けた連携で一致した。

 日本は北朝鮮が非核化への具体的な行動を取るまで、国連安全保障理事会の制裁決議を厳格に履行するとの立場だ。圧力路線は変わらない。

 これに対し、中韓は、北朝鮮の「段階的な非核化」に理解を示している。

 3カ国の考えには温度差があるが、朝鮮半島を巡って醸成されつつある非核化と平和構築の動きで協調していくことが重要だ。

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 楽観は禁物だが、停戦協定を平和協定に転換して朝鮮戦争を終結させ、朝鮮半島の完全非核化への道筋をつけることができれば、冷戦構造が残る東アジアの安全保障環境は劇的に変化するだろう。北朝鮮の脅威がなくなれば、在沖米軍も縮小されるべきだ。

 米朝首脳会談で米側は日本人拉致問題を取り上げる予定だ。金氏は南北首脳会談で「いつでも日本と対話を行う用意がある」と言及している。日本人拉致問題で米国、韓国の協力を得るのは必要だが、対話につながる独自の外交チャンネルを北朝鮮との間に築き、来るべき日朝首脳会談に備えておくべきだ。