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独特な書体で人気じわり 文字書き業の「いち」さん

2018年5月12日 10:37

 「言葉は人の心を変えることができる」と信じて35歳で脱サラし、文字書きの世界に身一つで飛び込んだ人がいる。「もじ書きいち」のペンネームで活動する沖縄県西原町幸地の与儀一さん(46)。北谷町美浜を拠点に、こつこつと活動を続け、その独創的な文字と言葉でじわりと人気を集めている。(浦添西原担当・伊禮由紀子)

自作の色紙を手に持つ、いちさん。不安を抱えながらも頑張っている人にエールを送る=西原町幸地

「言葉で心のスイッチをオンに」

 緩急自在、型破りな筆文字が紙に躍る。いちさんの作品は、柔らかくも力強くもある独特な書体が持ち味だ。主に手掛けるのは、手書きの筆文字で作る結婚式のウエルカムボードや出産・還暦などお祝い用のメッセージギフト。ほかにCDジャケットやポスターのデザイン、小学校での講演まで活動の場を広げている。

 転機は2006年、一念発起して会社員を辞め、この仕事を始めた。知人の間でささいなけんかが絶えなかったとき「もっとみんなが素直な心で『ごめんなさい』や『ありがとう』を伝えたら互いに楽になるのに。言葉で心のスイッチをオンにできる仕事がしたい」と思ったからだ。

 書道やデザインの専門的な技術や経験もなく、手探りでの挑戦。始めた頃はなかなか売り上げが伸びず、1年間はバイトと掛け持ちだったという。

 「不安で何もしないより、自ら動いてチャンスをつかもう」と自分に言い聞かせ、仕事の依頼は基本断らずに受けると、徐々に人脈が広がり、仕事の場も増えてきた。沖展のグラフィックデザイン部門に5度入選。母校西原高校のマーチングバンド部がことし1月に町民栄誉賞を受賞した際の賞状も書いた。

 小学校での講演では、児童に親へ手紙を書いてもらい言葉の大切さを伝えている。「『産んでくれてありがとう』って書いた子もいた」と振り返り、「普段、口では言えないことも手書きの文字なら素直に気持ちが伝わる」と言葉の力を信じる。

 3年ほど前からは知人の後押しで「似てるっぽい感じの似顔絵」を新たに始めた。「えっ、全然似てない。いや、どこか似てる」。絶妙な似てなさ具合が人気の秘密だという。

 自称恥ずかしがり屋のB型。「これがあると職人っぽい」と白いタオルを頭に巻きながら、ひた向きに人の話に耳を傾け言葉を紡ぐ日々に、やりがいを感じている。夢は全国進出だ。

沖展開催70周年を記念して、ウェブサイトを公開。これまでに開催された展覧会の図録を閲覧いただけるよう、デジタルアーカイブとして公開します。 >>「沖展オフィシャルサイト」

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