官僚や政治家はいつから平然と嘘(うそ)をつき、暴言、失言を繰り返すようになったのか。

 柳瀬唯夫元首相秘書官の国会答弁を受けて、愛媛県の中村時広知事が「嘘は他人を巻き込むことになる」と強い調子で批判した。加計学園の獣医学部新設を巡る10日の参考人招致で、愛媛県職員が同席していたかを「覚えていない」と発言したことに対してだ。

 面会時に後方に座り、メインスピーカーでない数人の中に県職員がいた可能性はあるとの柳瀬氏の説明に、中村知事は「県職員ら6人が面会し、県職員3人はメインテーブルに座っていた」と正面から反論する。

 証拠として職員が受け取った柳瀬氏の名刺、説明した内容のメモを公開したのは、よほど腹に据えかねてのことだろう。

 柳瀬氏はこれまで学園関係者らの官邸訪問の事実を「記憶がない」で通してきた人だ。「加計ありき」ではなかったかと事業者選定のプロセスに疑問の声が上がる中、その対応は極めて不誠実だった。

 参考人招致で明らかになったのは、学園側との3度にわたる面会、随行者の中に愛媛県や今治市の職員が「いたかもしれない」事実である。発言の修正だ。

 訪問者の半数が愛媛県職員だったにもかかわらず、「いたかも」というあいまいな答弁もにわかには信じがたい。柳瀬氏の名刺を職員が持っている以上、柳瀬氏も職員の名刺を持っているはずである。

 知事の異例ともいえる反論で、国会答弁に大きな疑義が生じている。

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 国民の疑問に真正面から答えようとしない官僚の不誠実な対応と、「安倍1強」下で繰り返される政治家の暴言は根っこの部分でつながっているように見える。

 財務省が既にセクハラ行為があったとし処分している福田淳一前事務次官について、麻生太郎財務相は11日午前の衆院財務金融委員会で「(女性にはめられた)可能性は否定できない」と述べた。

 午後の審議で野党から追及され撤回に追い込まれたものの、「福田の人権は、なしってわけですか」「セクハラ罪という罪はない」などこれまでの言動から透けるのは、セクハラが人権侵害だという認識の薄さである。

 セクハラ問題後、財務省は「先進的な組織に変わる」と約束したが、旧態依然とした考えを持つトップをそのままに、何を寝ぼけたことをと思っている人は少なくない。

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 暴言、失言はまだ続く。

 自民党の加藤寛治衆院議員が10日の会合で、3人以上の出産を呼び掛けていることに言及した。子どもがいなければ「人さまの子どもの税金で老人ホームに行く」と述べたというからひどい話だ。

 社会保障制度を維持するために「産めよ増やせよ」と言っているに等しい。そこには子どもを授からない人や、3人以上の出産に不安を抱える若い世代への気配りはない。

 政権が進める女性活躍の本音は女性の労働力で、暴言の背景には古い家族観や価値観が横たわっている。