養殖業の蟹蔵(かにぞう)(宮古島市伊良部、吉浜崇浩代表)は、伊良部島に生息するアミメノコギリガザミなどの「マングローブ蟹」の陸上養殖技術を独自に研究し、生産を本格化させている。養殖・出荷施設を拡充、年間出荷量を現在の約1トンから、来年度は3トン以上に増やす考えだ。島の新鮮な海水で育てた「ブランド蟹」として売り込むとともに、稚ガニを保護・成熟させて自然に戻すなど、産業化と環境保全の両立を目指している。

陸上養殖した伊良部島産のアミメノコギリガザミをPRする蟹蔵の吉浜崇浩代表=宮古島市伊良部の同社

 伊良部島佐和田にある施設では18基の大型水槽(各16トン)で、アミメノコギリガザミ、ベニツケモドキ、タイワンガザミなどを養殖している。

 カニは環境変化に伴うストレスで共食いするケースもあり、養殖は困難とされている。吉浜代表は島の入り江(汽水域)の環境に近づけるため、約15年前から自宅で低コスト・低リスク、高生存率の養殖技術を研究。塩分濃度や水質、エサの与え方を考案し、今年は冬場の養殖にも成功した。

 アミメノコギリガザミ(最大約3キロ)は高級食材として、県外で1匹当たり数千円以上の高値が付く。ベニツケモドキ(約100グラム)は脱皮後、甲羅が軟らかい「ソフトシェル」の需要が高い。養殖にはくみ上げた海水を使い、エサを効率的に与え、臭みがなく身の付きも良くなるという。

 来年度は島内でカニが食べられるよう飲食スペースも整える。吉浜代表は「ブランド化し、島の環境の良さ、魅力を発信したい」と話している。(政経部・長浜真吾)