2018年(平成30年) 5月23日

大弦小弦

[大弦小弦]規律違反は「軽微」。よって、懲戒処分ではなく…

 規律違反は「軽微」。よって、懲戒処分ではなく内規による訓戒。これが、幹部自衛官が国会議員を罵倒するという前代未聞の行為に対する防衛省の処分だった

▼自衛隊の中枢、統合幕僚監部の3等空佐が4月、路上で小西洋之参院議員を見かけ、暴言を吐いた。「国益を損なう」「ばかなのか」。内部調査に対して、小西氏が安保法制に反対したことを理由に挙げている

▼軍隊の暴走を防ぐため、非軍人が上に立つ仕組みがシビリアンコントロール(文民統制)。その一環で国民の代表として自衛隊の活動に歯止めを掛ける国会議員を、自衛官が攻撃した。本質はクーデターである

▼ところが、防衛省は「文民統制は揺らいでいない」と主張する。3佐を直接調査した担当者の一人は「自衛隊対国会ではなく、一対一の偶発的なできごと。本人もまじめな性格で猛省している」と言う

▼戦前の例を持ち出すまでもなく、自衛隊が組織として国会を攻撃するようになってからではもちろん手遅れだ。個人の資質の問題でもない。この危険な先例に厳正に対処することが組織の統制を守る唯一の道だった

▼責任者の小野寺五典防衛相は当初「国民の一人であり、当然思うことはある」と、内心の問題にすり替えて擁護した。これなら、自衛官の暴言は続くだろう。その先には、何があるだろう。(阿部岳)

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