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  • 琉球大は脂肪を培養・移植し顔を再生する手術に国内で初めて成功
  • 十分な量を採取できる脂肪は再生医療で最も有望な細胞とされる
  • 治療技術を確立し将来は肝臓や心臓再生の応用に役立てたいという

 琉球大学は9日、がんを切除しへこんだ患者の頬を形成するため、本人の腹部から採った脂肪組織由来幹細胞を培養して移植する手術を国内で初めて実施し、成功したと発表した。大学内に昨年6月設置された再生医療研究センターの培養技術を臨床につなげた最初のケース。2016年度中に足や側頭部が変形した別の3例でも同様の治療で技術を確立し、将来的には肝臓や心臓、血管再生などへの応用に役立てたいという。

 治療を担当した琉大医学部付属病院形成外科の清水雄介特命教授によると、脂肪は体のどこからでも安全に十分な量が採取可能で、脂肪組織由来幹細胞は再生医療の中で最も有望な細胞とされる。

 治療したのは県内に住む70代男性。5年以上前のがん切除で頬がへこみ、外出時はマスクを着けていた。この男性の腹部から脂肪を採取し、脂肪組織幹細胞を抽出したのは1月20日。約1カ月半かけてセンターで数十万倍に増殖した幹細胞を脂肪と交ぜ3月2日、変形部分に注射した。男性は手術3日後に退院し、経過は良好という。

 形成が必要な部位が大きい場合は筋肉や脂肪、皮膚などを一緒に移植する治療もあるが、血管の結合などで手術に長時間かかる。一方で少量の脂肪から幹細胞を培養し注入する再生医療では患者への負担が少なく、乳がん治療後の乳房再建にも応用可能という。

 16年度は患者自身の幹細胞による治療の安全性などを確認し、17年度は他人の幹細胞の活用準備に入る計画だ。

 清水教授は「他人の幹細胞なら事前に用意ができ、患者にとって時間や費用のメリットが大きい。自身の細胞を使う面と併せて模索していきたい」と説明。再生医療の技術を確立させれば、医療ツーリズムや培養機材を扱う関連企業の創設など、県経済への波及効果も大きいと見通した。