大弦小弦

[大弦小弦]パーランクーにドラ、指笛にコール…

2018年5月15日 09:21

 パーランクーにドラ、指笛にコール…。高校野球夏の甲子園で沖縄水産が準優勝した1991年8月、平和通りにいた。特設テレビの前でスタンドと同じ熱気で応援する数百人の姿は、県外出身の私には衝撃的だった

▼大阪桐蔭に敗れた後、人々が言葉少なに去って行く光景が忘れられない。2年連続準優勝の快挙なのに拍手はまばら。球児に込めた願いの強さを知った

▼連載中の「球児たちの1世紀」を読むとスポーツ史にとどまらず、沖縄戦後史の感を受ける。首里が初出場した58年、米軍統治下の沖縄に球場はなかった。外野の奥に線を引き、ゴロで越えれば全て二塁打とのルールで勝ち抜いた球児に、甲子園という巨大な舞台はどう映ったか

▼持ち帰ろうとした聖地の土は外国の土とみなされ、海に捨てさせられた。三塁手の金城睦俊さん(77)は「ただ残念というだけ」と話すが、当時の悔しさはいかばかりか

▼5年後の63年、初勝利を挙げた首里主将の宮里正忠さん(73)は語る。「ウチナーンチュの頭の上の、重い石のようなものをはねのけた。ヤマトでも通用するんだと」

▼沖縄戦を経て米軍統治下を生きた人々は、どん底から1勝を目指す沖縄球児に自らの歩みを重ねていたのだと思う。他県でこんな見方はなく、戦後体験の違いが高校野球にも表れる。きょう、復帰から46年。(磯野直)

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